道を歩いていると、違う学校の生徒に話しかけられた。
「あの……綺麗ですね」
「え、なに」
ショートカットだけど髪の毛がもじゃもじゃした、背の低い女子高生。なんか無駄に元気そう。
まあたしかに私は綺麗だけど。それも普通の綺麗さではなくて、めちゃめちゃに綺麗で美人。
でも初対面でいきなり、なに?
「あ、ごめんなさい。私、鉄花って言います」
「聞いてないんだけど」
「髪、灰色で綺麗ですね。目も赤いし」
「いきなり人の身体的特徴を褒めてくるのなに」
かなり引いてみせたけど、全然気にした様子がない。マジでなんなの。
なぜか私と彼女は二人で並んで歩いている。どこまでついてくるんだろう。
「その制服、峰月高校ですよね。私は真城高校の生徒なんですけど」
「はあ……」
「学校、楽しいですか?」
「楽しくないよ」
なんかトークしはじめてしまった。走って逃げたほうがよかったかな。
めんどくさすぎてしないけど。朝から走るくらいなら死んだほうがマシだし。
やばい子は、私の美しいうんざり顔にもひるまず次々と話しかけてくる。
「好きな科目ってありますか? 私は体育と国語が好きなんです」
「ない」
「そうですか……。それじゃ、好きな先生とかは」
「いない」
「なるほど……。友達はいますか?」
「いない」
「ああ、確かにそれだと学校が楽しくないかもしれないですね」
「…………」
すごい失礼なこと言われてない?
つづく