ナゴジュクバトル後旧知「獄……」
「寂雷……ちょっといいか?」
部屋の扉を開ければそこに立っていたのは他ならぬ獄だった。一体どうしたというのだろう。しかし普段の彼からは感じない、どことなく申し訳なさそうでしおらしい姿に思わず中へと招き入れてしまう。
先程まで此処で話し合いをしていた独歩くんと一二三くんは気を利かせ席を立ってくれた。彼らの気遣いに再び心の中で感謝する。
ディビジョンバトルで割り当てられた部屋は幾分か殺風景だが、それでも、必要なものは清潔かつ整然と備えられている。椅子を勧めれば獄はそれに座り、暫く考え込んだ。先程まで全力をぶつけ合い、互いに汗と血と涙でぐちゃぐちゃに乱れた様は適度に整えられ、互いに見る影もない。急かさないよう、じっと黙って口が開くのを待つ。
1781