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    takami180

    PROGRESS続長編曦澄5
    あなたに言えないことがある
     机上に広げられているのは文である。藤色の料紙に麗しい手跡が映える。
     江澄はその文をひっくり返し、また表に返す。
     何度見ても、藍曦臣からの文である。
     ——正月が明けたら、忙しくなる前に、一度そちらにうかがいます。あなたがお忙しいようなら半刻でもかまいません。一目、お会いしたい。
     江澄はもう一度文を伏せた。手を組んで額を乗せる。頭が痛い。
     会いたい、とは思う。嬉しくもある。それと同じだけ、会いたくない。
     会ったら言わねばならない。先日の言葉を撤回して、謝罪をして、そうしたら。
     きっと二度と会えなくなる。
     江澄にはそれが正しい道筋に見えた。誰だって、自分を騙した人物には会いたくないに決まっている。
     江澄は袷のあたりをぎゅっとつかんだ。
     痛かった。痛くて今にも血が吹き出してきそうだ。
     だが、現実に鮮血はなく、江澄の目の前には文がある。
     いっそ、書いてしまおうか。いや、文に書いてはそれこそ二度と会えなくなる。もう一度くらいは会いたい。
     自分がこれほど厚顔無恥とは知らなかった。
     江澄は文を片付けると、料紙を広げた。ともかくも返事を送って日取りを決めよう。
     まだ、日は 1610

    newredwine

    REHABILI
    味覚を失った江澄が藍曦臣とリハビリする話(予定)②辿り着いた先は程々に栄えている様子の店構えで、藍曦臣の後について足を踏み入れた江澄は宿の主人に二階部分の人払いと口止めを命じた。階下は地元の者や商いで訪れた者が多いようで賑わっている。彼らの盛り上がりに水を刺さぬよう、せいぜい飲ませて正当な対価を得ろ、と口端を上げれば、宿の主人もからりと笑って心得たと頷いた。二家の師弟達にもそれぞれの部屋を用意し、酒や肴を並べ、一番奥の角の部屋を藍曦臣と江澄の為に素早く整え、深く一礼する。
    「御用がありましたらお声掛けください、それまでは控えさせていただきます」
    それだけ口にして戸を閉めた主人に、藍曦臣が微笑んだ。
    「物分かりの良い主人だね」
    江澄の吐いた血で汚れた衣を脱ぎ、常よりは軽装を纏っている藍曦臣が見慣れなくて、江澄は視線を逸らせた。卓に並んだ酒と肴は江澄にとって見慣れたものが多かったが、もとより藍氏の滞在を知らされていたからか、そのうちのいくつかは青菜を塩で炒めただけのものやあっさりと煮ただけの野菜が並べられていた。茶の瓶は素朴ではあるが手入れがされていて、配慮も行き届いている。確かに良い店だなと鼻を鳴らしながら江澄が卓の前に座ろうとすると、何故か藍曦臣にそれを制された。
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