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    kimikoSunohara

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    kimikoSunohara

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    気づいたら、千空ちゃんと朝チュンしてたんだけど、ジーマーで?!②


    復興後、一度別れた千ゲンが酒の勢いで朝チュンして寄りを戻す話。

    あさぎりゲンは、酒が飲めない。

    ゲンは、その理由を体質だということにしている。

    だが、千空はゲンが酒に手を出さない本当の理由を知っている。

    「千空ちゃ~~ん!いっぱい飲んでる~?」

    「あぁ」

    千空の隣に座るゲンは頬をうっすらと染めて、ゆらゆらと揺れている。揺れはじめたら、酔いだした合図だ。

    「ふふ、このコーラ、お酒入ってないはずなのになんかふわふわしてきた。なんでだろ」

    「あー……酒の席に酔ってんだろ、雰囲気だ、雰囲気」

    「そっかぁ! 場に酔うことってあるよねぇ!」

    千空の淡々とした答えも気にも止めず、酔いどれメンタリストはご機嫌できゃははっと陽気に笑っている。

    だが、ゲンのグラスのコーラには濃いめの焼酎が入っている。だからゲンの飲んでいるのはコーラではなく立派なコークハイである。

    ほんの数分前、ゲンが御手洗に席を立った隙を見て、千空は自分で飲んでいた芋焼酎を半分ゲンのグラスに入れた。
    コークハイの爆誕である。

    杯を重ねる度、隙を見ては千空はあさぎりゲンのグラスをコークハイにしたてあげた。

    ーーとっとと酔いつぶれやがれ、メンタリスト。

    千空とゲンがこうして肩を並べて酒を飲み交わすのは実に3年ぶりのことだった。
    千空はゲンとかつて恋人同士だった。いや、今でも千空はゲンと別れたつもりなど更々なかった。
    三年前、ゲンがふらりと同棲するマンションをふらりと出ていったまま、三年間、帰ってきていないだけだ。
    互いに仕事が多忙ですれ違う日々が多かったこともある。千空が気付いた時には、ゲンの私物は跡形もなくマンションから消えてなくなっていたし、通話も繋がらなくなっていた。
    まるで何か新手の脱出マジックショーでも見せつけられいるように、ゲンは跡形もなく消えた。
    千空は、何とかゲンを捕まえようとした。
    海外でマジックショーがあると聞けば追いかけたし、日本のテレビ番組に出演すると聞けば訪ねて回った。けれど、やはりゲンは蜃気楼の如く、捕まえたかと思った時には跡形もなく消えているのだった。
    追いかければ追いかけるほど、逃げられる。
    イタチごっこが三年近くも続いた。
    けれど、このハイレベル鬼ごっこもようやく終わりを告げようとしていた。
    千空とゲンは、復興記念の特別番組の企画でテレビ局に呼ばれ、共演者として久方ぶりの再会を果たした。番組には、羽京や司、氷月、龍水らそうそうたる面子が勢揃いし、撮影が終わればまるで同窓会のような雰囲気で飲み会が開かれることになった。
    ゲンもさすがに懐かしくなったのか飲み会を避けるようなことはなかった。
    久しぶりにまじかに見る恋人の顔に、千空は胸が締め付けられる。
    何年経っても変わらない。ゲンが好きだという確固たる気持ち。ゲンを前にして、彼が欲しいという気持ちが千空の胸の中でよりいっそう強くなった。

    だから、千空は決めた。
    今夜を逃せば、あさぎりゲンはいつ捕まるかわからない。
    だから、今夜ゲンを捕まえる。そして二度と離さない。そのためには、もう手段は選ばない。

    「千空ちゃん、俺ね~……」

    頬を上気させたゲンは目をとろんとさせ、甘えるように千空の肩に頭を載せた。
    久しぶりの温もりに、千空は胸が締め付けられる。

    「本当はずっとずっと千空ちゃんに会いたかった……」
    「あぁ」

    ゲンの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
    まるで白金のようだな、と千空は思い、指先でゲンの目じりを拭ってやる。

    「千空ちゃんに会えなくて死ぬかと思った……」

    肩に手をまわすと、ゲンの目からとめどなく涙がこぼれ落ちる。ゲンは千空にしがみついて泣きじゃくった。

    「もうどこにも行かないで、千空ちゃん……、もうどっか行っちゃやだぁ……」

    勝手に出ていったのはてめぇだけどな、という言葉を千空は飲み込んだ。

    千空は、長い付き合いから、ゲンが泣き上戸であることを知っていた。
    いつもは綺麗にとりつくろって済ましている外図の仮面も、アルコールが入ると途端に綺麗に剥がれ落ちて、本音しか零せなくなってしまうから、ゲンは普段極力アルコールは飲まないように控えている。

    そうゲンが打ち明けて来たのは、ゲンと付き合いはじめたばかりの頃だったと思う。

    本音しか言えなくなっちゃうから恥ずかしい、愛しい恋人はそう言っていた。

    ーーてめぇは本音を吐かなすぎる。腹に溜め込みすぎるから抱えきれなくなって、時折暴走すんだろうが、バカ。

    「すごいね、ゲンがこんなに酔っぱらってるとこ、はじめてみた。こりゃ頑なに人前でお酒飲まないはずだ」

    千空の膝の上で、まるで溶けた猫なようにでろでろに甘えているゲンを見て、羽京は目を瞬いた。
    千空はにたりと悪い笑みを浮かべ、指の腹でゲンの頬を撫でる。
    「あぁ、この先、誰にも見せるつもりねぇしな」

    「羽京ちゃんにも誰にも千空ちゃんは渡さないんだからね!!」
    がばっと起き上がったゲンが、千空に抱きつく。
    ゲンは酔っ払い、完全に出来上がっていた。

    「悪ぃ、羽京。今日はこいつつれて帰るわ」
    千空はぽんぽんとゲンの頭を撫でる。

    「ふふ。千空は悪いなんて微塵も思ってないでしょ。確信犯なくせに」

    「なんのことだかなぁ? 店員がアルコールとノンアルを間違えたんだろ、きっと」
    千空は下卑た笑みを返したが、したり顔の羽京には全てがおみとおしのようだ。
    羽京の耳には、千空がゲンのグラスに常に酒を混ぜ入れていた音が聞こえていたに違いない。

    「もう逃がしちゃだめだよ。この三年間、ずーっと後悔と愚痴ばっか聞かされてうんざり」

    「わかってる。やっと捕まえた。もう逃がさねえ」
    千空はゲンの腰を支えて、居酒屋を出た。

    タクシーを捕まえ、そのままなし崩しにホテルにつれて帰った。スイートルームは前から予約を入れていた。

    「ベッド、ふかふかだねぇ、千空ちゃん」

    ゲンは、ベッドに飛び乗ると何がおかしいのかけらけらと笑った。

    「暑い~……」

    人の気も知らないで、上着やら靴下やらぽいぽい脱ぎ始める。それからゲンは両手を広げると千空を見上げてにこっと微笑んだ。

    「千空ちゃん、抱っこ」

    「この酔っ払いが。どうなってもしらねーぞ」 

    千空はゆっくりとベッドの上にゲンを押し倒す。

    とくとくと心臓の音が伝わってくる。

    この温もりを抱きとめるのは久方ぶりで、幸せだった頃の面影が脳裏をかすめた。

    「ん、いいの。千空ちゃんだから。朝までずっと離さないで」

    ゲンの目じりにうっすらと涙の跡を見て、千空はもう理性を抑えることができなかった。

    「死ぬまで離すわけねーわ、このバカ」

    服を脱がす一瞬さえももどかしい。
    幾億千のキスの雨を降らせ、千空はゲンと深く舌を絡ませた。

    「ん……、やぁ……っ」

    「ゲンっ……」

    失われた時を埋め合わせるかのように、千空はゲンの全身の輪郭を指先でなぞっていく。

    まるで千空の触れたところから性感帯に生まれ変わるように、ゲンの身体は歓喜にうちひしがれるように震えた。

    千空は、ゲンの白い項、鎖骨、胸元、腰と濃いキスマークを残していった。

    「千空ちゃん、千空ちゃん……っ」

    「愛してる、ゲン」

    シーツに縫い止めるように、十の指先を絡ませて繋ぐ。

    夜の闇の中、二人の境界線は濃密に溶けて深く混じり合った。
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    Replies from the creator

    kimikoSunohara

    SPOILER【千ゲン】z=1.9.7 その後の劣情、七年越しの愛欲について

    ※注意 がっつり本誌のネタバレというか本誌(z=1.9.7)のその後のお話です!!
     七年ぶりのマジックショーを終えて、宴もたけなわになり夜もふけると、みんな酔いつぶれて寝てしまった。
     全員が寝泊まりできる民家なんてあるはずもなく、みんなで焚き火を囲んでの雑魚寝だ。
     サマーキャンプみたいで悪くはないけど、贅沢を言えばふかふかのベッドと柔らかい布団が恋しい。
     俺はその夜、なんだか寝付きが悪かった。
     七年ぶりに目覚めた興奮が覚めきらないのか、起きたり眠ったり浅い眠りを幾度も繰り返していたところ、誰かに足をつんつんとつつかれる。
     そっと目を開けると、千空ちゃんが俺の顔を覗き込んでいた。

    「せんく……ちゃん? ……どうしたの?」
    「ゲン、ちょっとこい」

     千空ちゃんに腕を掴まれて、俺は眠たげに目を擦りながら起きあがる。

    「司ちゃんとの話はもういいの?」
    「ぁ、終わった。次はテメーに話がある。ちょっと来い」

     千空ちゃんに改まってそう言われて、強引に手を引かれる。
     こんな夜中に話ってなんだろ。
     俺はなんだか少し不安になって千空ちゃんに手を繋がれたままあとをついていく。
     夜の森は暗かったけれど月光がどこまでもついてきて足元を照らしていた。
     ジャングル 2885