魔獣の花嫁 #6「面影と眼差し(中編)」 その夜は満月が明るく、夜だというのに影が出来るほどだった。だからこそ、その影は夜の闇と相まって一層暗く見える。案外、そんな明るい夜の方が警戒すべきなのかもしれない。
商人バルトが一般の冒険者も多数雇ったので、ほっといてもこの屋敷は常に冒険者たちが警戒に当たっている。おかげで俺は自分に都合の良い時間だけ働けば良い。昼の間に森の調査に出てみたのだが、やけに静かな事以外今の所はおかしな点はなかった。意外と道も整備されていたので警護に問題が無いようなら次はあの道の先を確認しに行っても良いだろう。しかし着任から数日は依頼主に仕事をしている所を見せなくては不味かろう。そんな訳で仮眠を取って現在屋敷内の巡回をしている所だ。
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