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    mochichiti

    モチです
    作品、原稿の進捗とか
    今のところdcst 千ゲのみの予定

    えっちなのはワンクッション置いてます

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    mochichiti

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    千ゲ 
    ライブハウススタッフのゲと高校生千のパロ

    出会ってお互いに名前を知るところまでらくがきしました 楽しかったのでゆるゆる続くかも

    別に嫌いではないが、熱狂を持っているわけではない。自ら好んで聴くような対象はいないけれど、百夜がよくかけているから知っている曲もある。その程度。


    高校からの帰り道、少し遠回りをして更に細い道を曲がった。1ヶ月準備をしてきた実験の結果が芳しくなかったので、気分転換にでもなればと思っての寄り道だ。
    休みの日だから制服でないことだけが救いだろうか、パーカーにジーンズは街に溶け込みやすい。
    通学路から数本ずれた道は、人の少ない道だった。ちょうどこの時間から開く店が多いのか、シャッターをあげたり看板を出したりと数名が店頭に出ている程度だ。
    居酒屋や個人経営の飲食店だろうか、中年の男性がぱらぱらといる中でひとり若い男が目についた。黒と白の髪の毛に、体格に合わないサイズの黒いTシャツ。赤字で書かれた英語は遠目からでは何がかいてあるの読めないが、日付の記載もあるところを見ると何かの記念のものだろうか。
    看板なのか、黒い板を出してその場で何かを書いている。
    あまり見ることのない光景に、ついふらりと近づいてしまった。
    文字が視認できる距離まで来て、書かれているアルファベットを脳内で読む。聞いたことのない単語だから、何かの固有名詞だろうか。
    その下にはOPEN、STARTと時間とチケット3500円。足を踏み入れたことはないが、おそらくライブハウスというものだろう。
    用はないと背を向けようとした、そのときだった。
    「あれ、帰っちゃうの」
    白黒頭が、俺を見て目を丸くする。濃紺のジーンズに、STAFFの文字。
    「別に用があるわけじゃねえから」
    「そうなんだ。こんな人の少ない通りにわざわざ来たのに?」
    他に寄るようなところなんてないでしょ、と辺りを見回す動きをした。確かに周辺には俺が立ち寄れるような場所もないが、かと言ってこの場所が立ち寄るべき場所でもないような気がする。
    「どーせ今日も空いてるからさ、見てけば?」
    「あ?」
    おにーさん、暇なんでしょなんて言ったかと思うとひらりと看板の奥、細い階段を降りていく。
    薄暗いその道は、どうにも知らない世界のようで少しだけーーいや、かなり興味が湧いた。気晴らしにはちょうど良いかもしれない。
    「来ないの?」
    下から声がする。返事もせずに、薄い暗闇の中へと足を踏み入れた。



    薄暗い階段を降りると、先程の男がその場でまっていた。もう一人、柔らかな雰囲気の男と何やら話している。
    「あ、今日のヘルプ羽京ちゃんだったんだ。じゃあお願いしやすい〜」
    「お願いって怖いね……なに?」
    どうやらもう一人の男はウキョウというらしい。白黒頭の名前を知る前に、別の男の名前を知ってしまった。
    その、ウキョウが俺を見た。
    「ああ、いらっしゃい。ドリンク代あわせて4000円です」
    優しく微笑みながら右手を出される。どりんくだい、と聞き慣れない言葉を脳内に並べた。
    「この子、俺の連れってことで。バイト代から引いといてほしいんだよね」
    これがお願い、と俺を招き入れた白黒頭が両手を顔の前で合わせる。やれやれといったように息を落とすと、ウキョウは俺に一枚のコインを渡してきた。
    「ゲンのお給料からしっかり引いてもらうから、楽しんでね」
    バーカンはあそこ、と奥を指差している。ばーかん、とまたしても聞き慣れない言葉が無意識のうちに声になっていた。
    「バーカウンター。あ、それドリンクチケットね。だいたいのものだったら交換できるから何か飲みたくなったら」
    「お、おう……」
    ぺらぺらと説明される言葉が初めて聞くものばかりで、少しだけ戸惑った。けれどそれも一瞬のこと。知らないものに触れるのは興味深い、と前を歩く白黒に着いていく。
    入り口を抜けたら少しだけ広い、ロビーのような場所に出た。先ほど言っていたバーカンはここにあるらしい。壁一面に並べられた瓶はほぼ全てがアルコールで、それとは別にファミレスのドリンクバーのような機械が置かれている。
    階段を降りたら広がっていたこの世界は初めてで、わくわくと胸が弾んだ。落ち着かない様子で周囲を見回している俺を珍しそうに見て、白黒は笑いを隠そうともしない。
    「ライブハウス、来たことないの?」
    「ねえな。はじめてだ」
    「へえ、じゃあ記念日だね」
    そう言いながらカウンターの内側へと入っていく。ここが持ち場のスタッフなのだろうか。
    カウンター上に出ていた瓶を開けて、プラスチックのコップに注ぐ。鼻につくアルコールの匂いと、注がれる炭酸水。しゅわしゅわと弾ける爽やかな泡がこの空間に不似合いだ。
    「一杯奢るよ。ライブハウスデビューおめでとうってことで」
    置かれたそれはきれいな琥珀色。けれど受け取るわけにいかない。
    手を伸ばさないでいると、怪訝な顔でお酒飲めない?と尋ねてくる。飲めるのか飲めないのかすらわからない。法律的には飲んではいけない。
    目の前の男は俺の年齢をわかっていないようで、カクテルつくろっか〜と見当違いなことを言いながら壁際の瓶に手を伸ばしていた。
    「飲めねえ」
    「甘いのなら?」
    「ああいや、そうじゃなくてーー飲める年齢じゃない」
    高3、18歳。そう告げれば、え、と小さくこぼしたままゆっくりと視線を俺に向ける。数回瞬きをして、もう一度「え」と言った。
    「………おにーさん、じゃあない?」
    「テメーがいくつか知らねえがーー、多分お兄さんじゃあねえな」
    なにも言葉が出てこないようで、暫くの間沈黙が続いた。そして、それを破ったのは俺ではなく白黒の方。
    「……こどもは来ちゃダメでしょ!?」
    「連れてきたのはテメーだけどな?」
    おありがたくいただく、と目の前に置かれたコップへわざと手を伸ばせば、目にも止まらぬ速さで奥へと下げられる。代わりになみなみと注がれたオレンジジュースが姿を現した。
    「子供はこっち」
    「18は子供じゃねえよ。ーーっていうか、テメー名前は」
    ごちゃごちゃとやりとりをするのに、ずっと脳内で白黒と呼んでいるのもやりづらい。ウキョウは分かったが、この男の名前は未だわからないままだ。確か、ゲン、と呼ばれていたような気もする。
    納得のできない表情を浮かべながら、白黒は自分で作ったウイスキーをぐいっと勢いよく飲んだ。酒に弱いのか、飲んだ直後だというのに目元に赤が混じる。
    「俺はゲン。ここのしがないバイト。君は?少年くん」
    ゲン、で合っていたようだ。というか、これから仕事だというのに飲んで平気なのだろうか。
    目の前のゆるい大人を眺めて、ため息をついた。珍しい人間と知り合ってしまったかもしれない。
    「少年くんじゃねえよ。千空ーー石神千空だ」
    千空ちゃん、と呼ばれてどうにも落ち着かない。ちゃん付けなんてされたことがない。
    「気持ちワリィ呼び方すんな」
    「え、だって俺これが普通だから。ーーまあいいや、よろしくね千空ちゃん」
    楽しんでって、と笑う。

    知らないことだらけの、少しだけ大人の世界に胸が高鳴っているのは嘘じゃあない。
    ひとまず今日はこの流れに身を任せてみるか、なんてことを考えるのだった。
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    mochichiti

    DOODLE情報屋あさgりのはなし つづきました
    短いです
    これ書くのはちゃめちゃ楽しくてびっくりしてる
    さわがしい世界から離れて、地下への階段を下りた。表からは見えないこの道は裏社会をかじっている人間だけが知っているもの。
    剥き出しの金属音が足を進めるたびに響く。この音こそが、俺の帰宅を知らせる鐘。
    長い螺旋階段を下りて、暗闇を歩く。暗闇には橙色の電灯が灯り、布や鉄板で隠された各自の住まいが存在している。その中の一つから、童顔の男が顔をのぞかせた。
    「遅かったね」
    「あ〜〜ちょーっと色々あって」
    聞いてよ羽京ちゃん、と布をくぐればそこは俺たちが生活を営む拠点。見た目とは違いだいぶ奥行きのあるそこにはえんじ色の絨毯が敷かれ、少しだけではあるがソファやテーブルなど生活するのに役立つものが置かれている。
    どしんと革のソファに座れば、困ったように羽京ちゃんは笑った。
    「聞きたくないなあ、それ」
    「なんか変なやつらと知り合っちゃってさあ」
    バイヤーなのよ、多分。
    先ほど見た二人の男を思い出す。背の高い男の刺し殺してきそうな目や空気だけでも関わり合いになりたくなかったのに、その男を従えている人物なんてもっと関わりたくないに決まっている。
    「聞かない選択肢はない?」
    「俺と羽京ちゃんの仲でしょ」
    ない 2506

    mochichiti

    DOODLE表紙から妄想した情報屋のあさgりのはなし
    🚀と❄️もでます
    全然終わってません かきたいとこだけ……
    様々な言語が混ざる、喧騒。目に毒なほど安っぽく輝くネオン。それらの中をすり抜けるようにして歩いては、聞こえてくる会話を頭の中に仕舞い込んだ。
    この街で生きていくための、俺の仕事だ。言葉を操って、情報を得て、事実と捏造を混ぜ込んでどうにか毎日朝陽を拝む。もう何年もこうやって生きて、そうして気づけば裏社会でも顔が知られるようになっていた。
    そうなりたかったわけではないが、これはこれでお金にも困らないし悪くない。たまーに危なそうな依頼人から仕事を受けてしまうこともあるけれど、年月を重ねる中で所謂ヤバい相手の匂いはわかるようになっていた。
    派手な色彩のベストに紫色のジャケット、首元と瞳を緑で覆った俺の格好は自分で見ても一目を集めると思う。その方が都合が良くて、だからこんなに目立つ格好をしているのだけれど。
    さわがしい街の中ではこれくらいの方がいい。このことに気がついてからはずっとこんな感じで、へらへらふらふらと"情報屋"なんてものをやっている。




    安い情報ばかりが売れた日だった。思ったよりも重たくならなかった黒い財布の中を見ながら、地下に置いている拠点を目指す。
    誰かが後をつけてきている 2563

    mochichiti

    DOODLE千ゲ 
    ライブハウススタッフのゲと高校生千のパロ

    出会ってお互いに名前を知るところまでらくがきしました 楽しかったのでゆるゆる続くかも
    別に嫌いではないが、熱狂を持っているわけではない。自ら好んで聴くような対象はいないけれど、百夜がよくかけているから知っている曲もある。その程度。


    高校からの帰り道、少し遠回りをして更に細い道を曲がった。1ヶ月準備をしてきた実験の結果が芳しくなかったので、気分転換にでもなればと思っての寄り道だ。
    休みの日だから制服でないことだけが救いだろうか、パーカーにジーンズは街に溶け込みやすい。
    通学路から数本ずれた道は、人の少ない道だった。ちょうどこの時間から開く店が多いのか、シャッターをあげたり看板を出したりと数名が店頭に出ている程度だ。
    居酒屋や個人経営の飲食店だろうか、中年の男性がぱらぱらといる中でひとり若い男が目についた。黒と白の髪の毛に、体格に合わないサイズの黒いTシャツ。赤字で書かれた英語は遠目からでは何がかいてあるの読めないが、日付の記載もあるところを見ると何かの記念のものだろうか。
    看板なのか、黒い板を出してその場で何かを書いている。
    あまり見ることのない光景に、ついふらりと近づいてしまった。
    文字が視認できる距離まで来て、書かれているアルファベットを脳内で読む。聞いたことのな 2897

    mochichiti

    DONE千ゲ マシュマロリクエスト
    「石化前からこっそりゲンの強火ファン(イベントのチケットは当たったためしがない)だった千空ちゃんと付き合っているゲンのラブラブな話」

    ラブラブ…はどこかへ飛び立ちました……
    人間誰しも夢中になるものはあるはずだ。そして、その対象が何であれ隠す必要はないと俺は思っている。勿論公に言えないような趣味であれば人目につかないようにするなど配慮は必要であるが、基本的に趣味嗜好を隠す必要はない、はずだ。
     何かに惹かれるということは当たり前のことである。であるからして、俺の石化以前からの趣味が「芸能人あさぎりゲンを見ること、ゲン著作の書籍を読むこと、グッズを集めること」などであったとしても何の問題もない。ない、はずだったのに。
    「千空ちゃん早くってば〜」
     だから早く寝てって昨日言ったのに、と頬を膨らませながら玄関先でぶつぶつと言っている人物と俺がずっとずっと応援し続けている人物が同じ場合、これは本人に気が付かれてはならない事案ではないだろうか。
     そう、俺の恋人は俺の推し。こんなのアリかよ。


     簡単に俺とメンタリストの馴れ初めを説明すると、裏切り同盟船旅諸々を経ての恋人だ。世界が復興し、純情科学少年をしてもいいんじゃないかと思っていた頃に互いが友情とも違う好意を抱いていることが発覚し、そこからトントン拍子で話は進んだ。
     そして今日、初デート、というわけだ。意気 4805

    mochichiti

    DONE千ゲ 復興後パロ
    マシュマロリクエスト「絶対自分からプロポーズしたい千空VS絶対自分からプロポーズしたいゲン」
    「いいから座れ」
    「お断りします」
     そんなやりとりを何度繰り返しただろう。二人で暮らす狭すぎず広すぎない部屋。千空ちゃんが奮発して買った大型のテレビ前に置かれたふかふかのソファに座ってぼすぼすと勢いよく隣の空いたスペースを叩いているのは俺の恋人で、いいから黙ってここに座れと何度も何度も言われている。
     何度も何度も言われては断って、それでもめげずに「いいから座れ」と繰り返してくる。いやちょっと狂気を感じるんだけど? と思ったが決して口には出さない。出したところで、テメーが座ればそれで解決すると自信満々に言ってくるのが目に見えているからだ。座るぐらいしてやればって思うかもしれないけれど、頑なに拒否し続けている俺にも相応の理由はある。
     座っている千空ちゃんの手に見えるのは、小さめの四角い箱。何は入ってるかも俺は知っている。だって何回も見せられているからね。
    「何でそんなに嫌がるんだよ」
     若干苛立った様子の千空ちゃんは空いている手の指先で自身の膝をとんとんとしている。あ〜〜〜イライラしてるねえ、だったらその箱をしまってくれればいいのに。
    「だって座ったら千空ちゃん、言うでしょ」
    「…… 4152