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    角煮マン

    とろとろの角煮

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    角煮マン

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    定期的にうつになる左馬刻とそれを介抱する一郎くんのシリアス小説になるはずだったものです。
    気が向いたら続き書くかも🧐

    AM3:00午前3時

    ふと目を覚ますと、隣で寝ていたはずの左馬刻がいない。トイレにでも行ったんだろうとしばらくボーッとしていた。が、一向に戻ってくる気配が無い。目が冴えてしまい寝室を出ると、左馬刻は僅かな月明かりの中、ソファで膝を抱えて座っていた。

    あぁ、もうそんな時期か。

    「···左馬刻?」

    名前を呼んでも返事がない。ソファに歩み寄り目の前にしゃがんでもう一度名前を呼ぶ。ようやくこちらに気付いたのかゆっくりと顔を上げた。

    その表情は、まるで迷子になった子供のような不安が入り交じった、あのハマの狂犬とは程遠いものだった。

    「一郎」
    「···どした?」
    「一郎、一郎···っ」
    「うん」

    うわ言のように俺の名前を呼び、震える手をこちらに伸ばしてきた。ソファに乗り上げて手を取り腰に誘導すると、ゆっくりと体が引き寄せられる。

    服も着ずに座っていたせいか、元々白い肌が外の薄明かりに照らされやけに青白く見えた。その体を温めるように全身を包み込めば、腰に回された腕に力が込められる。
    静寂のなかでお互いの鼓動だけが部屋に響いているような、そんな錯覚を抱く。
    泣いているのか耳元で息を詰まらせ鼻をすする音が聞こえる。
    ─────今回も相当弱ってんなぁ。

    「···一郎、ごめんな···いちろ···」
    「うん」
    「行くな、一郎、」
    「ん、大丈夫だって、どこにも行かねぇよ、だから大丈夫」

    冷えきった背中を摩り、心音に合わせて軽く叩く。きっとこの弱りきったハマの狂犬を介抱出来るのは世界中探しても俺だけだろう。
    そう思うと喉を締め付けるような苦しさが緩和された気がした。

    「ぃち···、いち······」
    「んー?」
    「俺は、俺様は···」

    だんだん腕の力が弱まってきた。最近仕事が忙しくて睡眠不足もあるのだろう、しばらくするといつもより早い段階で口数が減っていく。


    「·········」
    「なぁ、ベッド戻ろうぜ?そんな格好じゃ風邪引くだろ······左馬刻?」
    「────、母さ···」

    そう言うと俺の体温で温くなった腕が太腿を滑りぱたりと落ちた。眠ってしまったのか微かに寝息が聞こえてきて流石にここで寝せる訳にもいかないので俺はソファから降りて背中と膝裏に
    腕を滑らせ抱えあげ、寝室へ向かった。

    自分と変わらない体格の男を持ち上げるのは並大抵のことではないが、仕事柄重労働を強いられる事も多々あるし筋力には自信がある。

    何とか寝室に運びベッドにゆっくりと降ろす。シルクのシーツに沈みこむ血色の悪い体は、今にも溶けてしまいそうなほど馴染んでいた。濃ゆい隈を作る目にかかっている前髪を流し、額にキスを落として俺もベッドに入り込んで目を閉じた。

    「おやすみ、左馬刻」



    ────なあ、俺はあんたの力になれてるか?
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