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    みあ@A氏

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    みあ@A氏

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    とりあえずゼロしいを吸いたくなって息抜きがてら書きました。

    #ゼロしい
    nilpotent

    無題今夜はレセプションセンターで潜入任務だった。令嬢のフリをして身を包んだ着慣れない大仰なドレスに、貴族たちの上辺だけの会話。ターゲットはボロを見せず、対した収穫もなく、疲労だけを溜め込んでしまった。早く休みたい。しいなは疲れた体を引き摺って、メルトキオで拠点代わりにでも家代わりにでも使って欲しいと伝えられたワイルダー邸に訪れた。(令嬢のフリをした自分が神子と繋がっていることをバレないようにもちろん最新の注意を払って入った。)
    早く与えられた自室に行ってこの仰々しいドレスを脱いでしまいたい。疲労困憊していたしいなは拠点に戻ってきたことで、気が抜けていたのか、他人の気配に気づけなかった。
    素通りしたはずのこの館一煌びやかな部屋のの扉が開いてその主がしいなを攫うように部屋の中に引き込んでも、しいなは抵抗らしい抵抗が出来なかった。けどそれは突然しいなを攫ったその本人が恋人であるゼロスだと直ぐに気づいたからかもしれない。
    「きれーな格好しちゃって、どこの令嬢かと思ったぜ」
    しいなを後ろから抱き込んだまま部屋のソファに落ち着いたゼロスが耳元で囁く。
    「お世辞はいいから、離しとくれよ。早くこんな重い服脱いで寝ちまいたいんだよ」
    しいなは疲れて回らない頭で切実に湧き上がるある欲求を並べて立てただけのつもりで、そこに他意はなかった。
    「へぇ?」
    表情は見えないがシニカルな笑いに嫌な予感がする。
    「今夜は随分と大胆なんだな」
    その言葉を理解できないでいるうちに衣装で縛られた身体に開放感が訪れる。遅れてゼロスが背中のファスナーを下げていることに気づいてぼんやりしていた頭が一気に覚醒する。
    「…っちょっと!?あんた、何してんのさ!」
    「しいなが言ったんでしょ、脱いで寝たいって。恋人の部屋でそう言うってことは…」
    ゼロスの手がファスナーが外れて緩んだ胸元に侵入してくる。
    「そういうことでしょ?」
    こめかみあたりに口付けが降りてくる。急に艶っぽい雰囲気に気づいたしいなは慌ててこの場から逃げ出だそうと抵抗する。とてもじゃないけど、今この疲れた身体でゼロスを受け入れてしまったら明日の午前中にミズホに戻れない。
    そんなしいなからゼロスは易々とドレスを剥がしてスリップ姿にすると、しいなを抱えあげて慣れた手つきで天蓋の向こうへと転がしてしまった。しいなが逃げる間もなく、慣れた感触のするベッドに縫い止められてしまった。
    ゼロスはしいなを上から下まで眺めると、
    「このスリップ、俺が選んだやつだよな、良く似合ってる」
    「っ!…ばか!早く離しなって!あたしは明日に備えてもう休みたいんだよ!」
    「…ここで休めばいいだろ」
    ゼロスはしいなの横に身体を落ち着けると、しいなを抱き枕のように腕の中にすっぽりと収めてしまった。
    「…ここ最近の俺様の教育が効きすぎたか?もうしいなの中ではここで俺様と寝るイコール抱かれるっていう認識なんだな」
    その言葉にしいなはなにもかも一人相撲だったことに気づいて、みるみる自分の顔の表面温度が上昇しているのがわかる。
    「疲れてるの分かってっからさ。無理に抱いたりしねーよ。それともなに?添い寝も許してくれねーの?」
    ゼロスの意図に気づいたしいなは恥ずかしくなって赤く火照った自分顔をゼロスの胸に押し当てて隠した。
    「そんなに強く押し付けられると額にエクスフィアの跡がつくぜ」
    「うるさい」
    「はいはい」
    ゼロスは枕元のスイッチに手を伸ばして、灯りを消すと、しいなの背中に手を添えた。
    「朝になったら起こしてやるから、ゆっくり寝ろ」
    「…ん」
    安心すると、疲れがよみがえってきて、瞼が重くなってきた。やがて、意識は夢の中へと消えていった。


    すうすう、と規則正しい寝息をたてるしいなにゼロスは苦笑いする。
    「ここまで信用されるとちょっと男として複雑だな」
    もちろんくたびれた顔のしいなを見た時からその気はなく、寝かしてやるつもりだったが、久しぶりにその身に触れてしまうと全く、欲求が湧いてこないと言ったら嘘になる。少し、紳士で添い寝だけしてる自分に後悔する気持ちはある。
    だが、安心しきった顔で自分の腕の中で眠るしいなの顔をみて、額にかかっている髪を払ってやると、毒気を抜かれてしまって、これでよかった、と言う気にさせられてしまう。
    「惚れた方が負けってほんとだよな」
    カーテンの隙間から優しく漏れる月明かりに包まれながら、穏やかな気持ちで眠り、朝焼けの光を待った。
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