■場面──病院
琴音
「は………、え?
覚えて……………ない?
わたし……だけを」
美鶴
「ああ……そのようだ
『忘愛症候群発症』という
病名らしいが……患者数が少なく
あまり詳しいことは
わかっていないらしくてな…
もしかしたら……制御剤が
関係している
可能性も…ある、…と
記憶喪失とは違って、
『愛した者の記憶』だけが
無くなるらしい」
琴音
「はあ……
「愛して」いたんですか
荒垣先輩は……私を………」
美鶴
「何も………言われて
ないのか?」
琴音
「直接的なことは…、
そうですね
言われてないです
でも……行動では
示してもらえていたので
『お互いがお互いを好き』な
ことは知ってましたよ」
美鶴
「……せっかく復学もした
途端にこれとはな
だが希望は
捨ててくれるなよ
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