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    time6v6flies

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    常連さんと金糸の君

    うちはイタチは天気予報を見るのを欠かさぬ男だった。この世に生を受け幾数年、物心ついた時から朝の始まりは天気予報からだった。彼は常に傘の準備に怠らぬ男だった。というのにも決して浅くはない理由があるのだがこの本編に関わることがないので割愛する。


    学生時代を経て社会人として幾ばくかの時が経ちなお、彼は天気予報を欠かさず見ては常に傘を鞄に忍ばせる男だった。そんなうちはイタチが生まれてはじめて傘を忘れた日、確かに天に太陽は燦々と登っていたが同時にまるでバケツをひっくり返したような大粒の雨がここ、尾道の地を絶え間なく濡らした。


    天気雨というには異様な光景である。これは盛大に狐の嫁入りがなされているに違いない。物心ついた頃から一時も傘を忘れたことがなかった彼だがたいして現状への落胆はなかった。そんなこともある。しかし彼の鞄に収まる愛用の半導体は雨を嫌う。とにかくこの銃撃戦のようなどしゃ降りから避難する。


    それが彼に課せられた最重要事項であった。ふとまわりを見渡せばちょうどそこに喫茶店がある。ご都合主義とはよくいったものだ。しかし見つけたからには入らない理由がない。イタチはそそくさとその喫茶店の重厚な扉を開け、中に入った。


    大正ロマンと言うべきだろうか、洋館ながらどこか古き良き日本を醸し出す内装。と、言うのも年季の入った窓枠に、綺麗に磨かれたステンドグラスが填めてあるが、着物のような和の紋様なのである。豪勢なシャンデリアは白熱灯のごとくぼうっとやわく光を発し見ているだけで冷えた身体を暖めた。


    「いらっしゃい、タオルいる?」シャンデリアを眺めていたら突然声が反響する。ハスキーがかった少年の声。だが振り替えるとそこには長髪を二つ結びにした金髪の店員がいた。旧式の、いわゆるイギリスメイドの格好をしたその身なりは一見女性に見えるが、首もとのうっすら見える喉仏。


    まごうことなき少年がくるぶしまであるロングスカートのメイド服に身を包んでいる。メニューより先におそらく今治のものだろういわゆるもふいタオルをイタチによこす。イタチはそれを受け取り軽く礼を言った。


    ナルトは学校に行かない女装メイドなんだけどというのも事故で両親が死んで自分だけ生き残ったわけだが、そのときに両親と一緒に自分も死んだと思ってる。死体は出歩かないから違う自分を装って生きてるんだ。
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