気づかなかっただけで好きだった!「なんでだよおーーー!!!」
暦は机に伏せてわっと喚き出した。
毎回のことである。ランガは暦の背中をそっと撫でてやった。
「スケート優先でいいって言ってくれたのに! いつもそうだ!」
ビール缶のプルタブを開けて、勢いよく飲み干す。一気飲みは危ないけれど、それくらいしないとやってられないんだろうなと思うとランガは止めなかった。それに、どうしようもなく酔った暦を介抱できるのは自分だけなのだと思うと悪い気分ではない。
「なんでだよお〜……浮気とかしてねえのに……ただ好きなことをを楽しんで何が悪いんだ〜……くそー……」
月日がここにいればそういうとこだよお兄ちゃん、とでも言いそうなものであるが、ここにいるのは家主のランガのみであった。
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