わたあめ 稲妻では祭りの時に着る服などと言って、揃いの浴衣とやらを着せられ稲妻の祭りに行くことになった。
人が多いので、はぐれては大変だと言って手を繋がれた。
鍾離様の御手は、我の手より幾分か大きく、包まれてしまえばその温かさに心臓まで温もりを感じる。いつもは手套に隠されているお互いの皮膚が触れ合っているというだけで、なんともいたたれない気持ちになった。
時折力を込められたり、指ですりすりと撫でられたりすると、自分の体温がどんどん上がっていく気さえした。ちらりと鍾離様の顔を盗み見れば、とても楽しそうに笑っておられる。このように人が多く、誰に見られるかも知れない場所で手を繋ぐなど勘弁して欲しいところであるが、鍾離様が楽しそうだと我も楽しいのは事実である。
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