事後は突然に「……っ」
魈は痛みに顔をしかめた。いつもとは違う類の違和感が魈に襲いかかっていた。なんの足しにもならないが、痛む箇所に手を当ててさする。しかし、治癒力などは持っていないので、ただ手を添える程度に過ぎなかった。
敷布に手をついて起き上がる。それだけで精一杯だった。尚も気怠い身体を壁に寄りかからせて、ふぅと息を吐いた。
敷布の端の方で眠っていたようだが、空いている所には誰もいない。昨夜は鍾離が望舒旅館のこの部屋へ来ていた。いつもと変わらないような雰囲気ではあると思ったが、久しぶりに会ったような、そんな気がした。
喉がひどく渇いている。僅かながらに口の中に溜まった唾を飲み込んだ。すると、喉にも違和感があることに気付く。何故こんなに満身創痍であるのか思い当たる節はあるのだが、本当にそれのせいなのか? とも思う。
1981