過ぎ去った太陽「魈は、誰も俺達を知らない場所で、のんびり一日ゆったりと過ごしてみたいと思ったことはないか?」
「そのような恐れ多いことは……全く……」
いつもの望舒旅館の最上階の露台にて、茶を飲みながら鍾離にそう聞かれた。璃月において魈を知らない凡人は多くいるだろうが、鍾離を知らない凡人がいるものだろうか。魈は少し考えた。璃月港をたまに付き添って歩いているが、三歩歩けば鍾離は声を掛けられ、三杯酔で茶を飲んでいても声を掛けられ、誰にも会わずに一日を終えられたことはない。しかし、魈は特に気にしてはいなかった上に、鍾離は神であってもそうでなくても人を集めてしまう魅力をお持ちの方なのだな。と尊敬するばかりであった。
「はっ!」
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