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    Kujaku_kurokai

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    Kujaku_kurokai

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    幼巌さん、隊士巌さん、黒様、最終形態黒様による獪くん総受け、ギャグ。軽い。
    イベント投稿作品。イベントにてパスワード公開

    #黒獪
    blackCunning

    獪くんの受難「黒死牟が分裂した。あとは任せた」

    無惨に突然呼び出されるのにも慣れたもの。しかし、そんな言葉を残し突然消え去るという合わせ技で、分裂ってなんですかと問う暇は獪岳になかった。
    ただ、目の前に広がるは黒死牟の鍛錬場で、石柱が倒されているから戦闘後であるのは確か。
    ふと瓦礫の合間に伏している人影が見え、駆け寄った。黒死牟の着物であり、その長髪は間違いなく。

    「黒死牟様!?大丈夫ですか!?」

    一般常識で言えば助け起こすところだが、正直そんなことをして殺されないか怖かった獪岳は、横を向いている顔を覗き込んだ。

    目がなかった。いや、正確には二つしかない。炎のような痣があるのは同じだが、見たことのない物憂げな美丈夫が倒れている。しかも、この匂いは人間のものだ。
    ぱちりと開かれた目が獪岳を睨み、体が痛むのかつらそうに上体を起こす。

    「くっ……新手か……私の肉を食いに来たか」
    「え?俺?ち、違いますよ」
    「では、なんだ」

    どうやら人間に戻って記憶も無くしてしまったらしい。無惨の悪戯なら有り得そうなこと。とにかく敵と思われないほうがいいと考えた獪岳は、なるべく受け入れやすく親しい間柄だと伝えようと頭を捻った。

    「俺は、えーっと、貴方の…弟子…?です」
    「お前のような弟子などおらぬ」

    せっかく捻り出して照れつつ弟子を自称したら、ピシャリと言い捨てられた。記憶もなく混乱しているのだから仕方ないが、心が痛む。
    もしかして黒死牟も血を分け鬼にした手前、面倒を見てくれているだけで、人間で赤の他人なら獪岳なんぞ関わりを持とうなどとは思わない存在なのか。
    そう考えると獪岳は目頭が熱くなり声が震えた。

    「わかり、ました……でも、怪我をしているかも、知れないので……治療だけでも、させてください……」
    「っ……いや、峰打ちだ」

    身に覚えのない自称弟子が、冷たくしただけで目を潤ませているのに巌勝は何故か胸が締め付けられた。いいや、鬼などにほだされてはと、心中己を叱咤した。

    「打撲だけですかね……なら冷やさないと」
    「余計な真似をするな!」

    これ以上そんな表情で甲斐甲斐しく尽くされたら己の自制心が危ういと判断し、巌勝は声を荒げる。
    対する獪岳は黒死牟と同じ声色で拒絶された悲しみに立ちつくした。余計な真似をするなと言われては、身動きが取れずうつむくしかできない。

    「俺に……俺に何かできることは……」

    巌勝は思った。この鬼はとんでもない魔性だと。自分がしっかりと捕獲管理して幸せにするのは、もはや責務であると。

    「こちらに来い」
    「いいんですか……!?」

    獪岳は許された気がして舞い上がりそうなのを抑えつつ、巌勝の前に正座した。巌勝がよろよろと起き上がるのを見て手を貸したくなったが、拒絶されるのはツラいので命令があるまでソワソワと待った。

    「愛い……」
    「え?」

    一挙一動が愛玩動物のようで巌勝はぽろりと本音が出た。しかし、伊達に長年怨毒を隠してはいない。巌勝は常に凛々しく真面目な表情だった。

    「気にするな。お前、名は?私は継国巌勝だ」
    「獪岳です!」

    黒死牟の人間の頃の名前が知れて嬉しい獪岳は元気に返事した。あまりの可愛さに巌勝は震えながら獪岳の頭を撫でた。
    獪岳には鬼だから恐る恐る撫でているように見えたが、黒死牟が人間になっても獪岳を撫でてくれる。それだけでも、たまらなく嬉しくて思わずニヤけてしまった。
    巌勝は心に誓った。

    「獪岳……ウチに来るといい……幸せにする……」
    「仰せのままに……」

    美しい容姿で真っ直ぐに告白され、獪岳はうっとりと承諾した。凛々しい顔が近付いて、おでこに口付けが降る。獪岳は抱きしめられ、幸せな気分を噛み締めた。


    肩を貸すことを許された獪岳は、巌勝と共に無限城を歩いていた。巌勝がここに来たとき子供を見たというのだ。邪悪な鬼との戦闘中に、はぐれてしまったと。

    「特徴はありますか?」
    「武家の子供だろう。身なりはよかった。長髪で利発そうな顔付きだ」

    べべん

    鳴り響いた琵琶の音色とともに、同じ特徴の少年が現れた。腰を抜かしたように座り込んでいたが、獪岳を見ると距離を取る。何処から持ってきたのか木の棒なんて構えて。

    「化け物め!その人を離せ!人を呼んだぞ!今に大勢詰め寄せる!」

    こんなカラクリ屋敷に連れて来られて怖いだろうに、怯えを隠して挑む様に、獪岳は口角を上げた。

    「おーおー、一丁前に男だな」

    人を呼ぶなんて無限城では不可能。見え透いた嘘だが子供にできるのはそれくらいだろう。帯刀する獪岳から距離を取って警戒する様子は確かに利発そうに見えた。捕まえようと踏み出したところ、その肩を巌勝が掴む。

    「その子は……私だ……」
    「え……?」

    幼少の頃の姿なのだと巌勝は獪岳に耳打ちした。八歳くらいに見えるが確かに似ている。巌勝は膝をつき、少年と同じ目線になって話しかける。

    「この鬼は可愛くて安全だ。一緒に出口を探そう」

    余計な形容詞に獪岳は巌勝を二度見したが、少年は獪岳を見つめると頷いて棒切れをおろしたので、獪岳は気のせいかと思うことにした。

    二人黒死牟の片割れを集めた獪岳は、だんだん理解してきた。分裂というのは様々な姿に分裂することか。理屈はわからないが、たぶんこの調子で集めりゃいいんだろうと。
    心当たりはもうひとつある。

    「ちなみに襲って来た邪悪な鬼ってどんな見た目でした?」
    「目が六つあった……私の剣術にダメ出しをして去っていった……」

    巌勝が忌々しいという表情で語る傍らで、獪岳はその鬼が黒死牟に間違いないと確信した。
    とりあえず出口を探そうと嘘をつき黒死牟を探し歩いていると、巌勝がなにやら暗い表情をしていた。獪岳は嘘がバレたかと慌てて問う。

    「ど、どうしました?」
    「私は……自分のことを利発だなどと言ってしまった……」
    「え?実際、勇敢で利発な子供だったし何か問題あります?」
    「傲慢だ……」
    「はぁ……?」

    鬼の根城で子供ができることなんて、助けを呼びに行くことだけだろう。先程の行動も勇気と知略がなければ無理だ。そもそも自分自身だと知った上で言ったわけでもなし。むしろ子供を先に逃したのであろう巌勝も含めて立派だった。
    獪岳はそう言い切った。実力もないのに威張る奴は嫌いだが、実力があるのに謙虚な奴も嫌いだったから、ふんすと鼻息荒くした。
    その様がまた可愛くてたまらず、肩を借り歩く巌勝の表情は和らいで、もはや獪岳以外見えていない。

    「幸せにする……」

    婚約でもするかのような熱視線。
    あまりの熱に、獪岳はこれって浮気だろうかと不安になってきた。分裂した黒死牟の一部なら黒死牟であることに変わりない。ならば、浮気ではない。そうであれ、怖いから。そんな獪岳の願いはだいたい叶わないのだが。

    子・巌勝は獪岳の手を遠慮がちに握った。急な接触に獪岳は足を止める。

    「どうした?足を挫いたか?我慢せず最初に言えよ。背負うぞ」
    「いや……」

    欲しくなって考えなしに握ったなどと言えず、子・巌勝は言い淀んだ。獪岳はしゃがみ込み、目線を合わせてニヤリと笑う。

    「なんだ、俺が怖いのか?」
    「怖くなどない!愛い!」
    「え、あ、はい」

    今可愛いのはそっちだろとツッコミたかったが、あまりの勢いで断言されタイミングを逃した。
    ともかく背負われてはくれた。小さい手が首の前で結ばれる。これは可愛いと、獪岳を何やら芽生えそうな気持ちにさせた。
    獪岳は子・巌勝が持っていた棒切れを杖代わりにと巌勝に渡す。巌勝は獪岳との接触が減ることに残念な気持ちを抱えつつ、大人として我慢しようとした。ところが、子・巌勝が獪岳の肩に頬ずりし巌勝に勝者の笑みを向けたので、この餓鬼と射殺す目を返した。
    そんなやりとりを知る由もない獪岳は首を傾けた。

    「抱きかかえて運びましょうか?」
    「……必要ない」
    「寂しいのかなと」
    「後で覚えておけ……」

    子・巌勝に向けた言葉だが、獪岳は自分が脅されたと勘違いし、からかって怒るなんて可愛げがあるなと苦笑した。
    和やかな雰囲気も束の間、城内が激しく揺れた。バキバキと壁を破る音が近づいてくる。瓦礫や砂塵と共に現れた姿に獪岳が声を上げた。

    「黒死牟様!」

    音の正体は黒死牟だった。それともう一人。六目はそのままだが、上裸の肉体から鋭利な角が生え、牙は剥き出し、触手のようなものが生えた黒死牟らしき姿。獪岳は声を震わせた。

    「か、か、格好いい……!!」
    「「は……?」」

    その場にいる全黒死牟、巌勝から視線が獪岳に注がれる。

    「すごい!第二形態ですか!?」
    「第二……!?」
    「はい!黒死牟様なら最終形態では天を覆い尽くし山を削り海まで焦土と化す炎を吐きますよね!?」

    黒死牟は獪岳に期待の眼差しを向けられ、頭を抱えた。可愛い部下の期待に応えてやりたい。以前、獪岳が巨大な岩を指差して「あれくらい黒死牟様なら一刀両断ですよね!」と言ったのにも勿論応えた。山を削るくらいなら頑張れば。天を覆うのも視点次第では可能か。しかし炎とは。
    黒死牟は獪岳の前に視線を合わせ、子供に言い聞かせるように告げた。

    「炎は吐けぬ……」
    「じゃあ何吐くんですか?」
    「なに……息……?」
    「毒の息ですか?」
    「それくらいであれば……?」

    よく鬼は自分の血を毒にするし、可能な気がする。しかし侍として、どうなのか。黒死牟は考え込んでしまった。

    頭を捻っている隙に、第二形態の黒死牟が獪岳の後ろに立っていた。子・巌勝をぺりっと剥がし、獪岳を抱きしめた。

    「ゔぐッッ!?」
    「あぁ……獪岳……獪岳……」

    何故か感極まった様子で力が強い。獪岳の肋骨がギシギシ悲鳴をあげる。繰り返し名を呼び続け、解放する気はないようだ。当然、黒死牟は取り返すべく手を伸ばしたが、逃げられて獪岳の脚を掴む形になった。

    「私の獪岳だ……離せ……!」
    「断る……」
    「いででで!千切れる!千切れる!」

    黒死牟二人がかりで綱引きしたら、熊だって千切れる。獪岳は黒死牟らの手をぺちぺち叩いて抗議した。

    「俺のために争うなら俺抜きでやってください!」

    そんな叫び虚しく、巌勝までも駆け寄って獪岳の胴を掴んだ。

    「離せ!獪岳は私と一生添い遂げると先程誓ったのだ!」
    「なんだと……!?」
    「それは、その、いだだだ!」

    引っ張る力が更に強まった。体がちぎれそうだ。鬼だから別に平気だが、体をバラバラにされて返して貰えないことを恐れて獪岳は踏ん張った。
    ぎゃあぎゃあと引っ張り合いが続く中、幼い声がぽつりと呟かれた。

    「……醜い」

    三人がぴくりと反応する。獪岳は力が緩んだ隙をついて逃げ、子・巌勝の背後に隠れた。
    第二形態の黒死牟は「醜い…醜い……」と繰り返し、傷心の様子。子供の無垢で残酷な発言に胸押さえている。

    「容姿じゃなくて大人げない取り合いが醜いって言われてるんだと思いますよ」
    「……」
    哀れに思った獪岳は慰めつつ現実を突きつけた。子・巌勝はうむと頷く。

    「大人なら所有権は話し合い、その上で決裂したなら正式に果たし合うべきだ」
    「所有権て」

    子供にさえ所有物だと思われている。なんとかこの場を収めなくてはバラバラにされかねないと判断した獪岳はハイハイ!と大きく手を挙げた。

    「黒死牟様!まず、なんで増えたんですか?」
    「……あの方が分裂する血鬼術だと仰っていた……」
    「では、戻るんですか?」
    「幻影達が満足すれば戻ると……」
    「なるほど。ん……?じゃあ何故、巌勝様を峰打ちに……」
    「強者と戦えるのは喜びであろう……?」

    獪岳はきゅっと眉を寄せて口を閉じた。否定してはいけない。剣士の矜持として。でも正直、突然現れた六目の鬼に峰打ちされても幸せ☆ってならないと思った。
    巌勝も口を一文字に閉じて、微妙な表情だ。それを確認して獪岳はまたハイ!と手を挙げた。

    「巌勝様はどうすれば満足ですか?やってみたいこととか何かあればお手伝い致しますが」
    「……私がなりたいものは、私の力でなってこそ意味のあるものだ」

    覚悟を決めたような表情で言い切る巌勝に、獪岳は若い頃から格好良いなと頬を染めた。問題は何も解決していないが。

    「ただ……」
    「ただ?」
    「お前にしてほしいことならある」
    「お、なんですか?」

    巌勝はふぅと呼吸を落ち着け、キリリと視線を向け獪岳に耳打ちした。

    「尻を揉んでも良いだろうか?」
    「え?」
    「尻を揉んでも良いだろうか?」

    聞き返して悪かったが、二度言わないで欲しかった。せっかく格好良かったのに。真面目な顔して獪岳に向け腕を広げている。獪岳が黒死牟をうかがうと心底嫌だという顔をしていた。

    「こ、黒死牟様?どうします?」
    「不快極まりないが……仕方ない……少しだぞ」
    「…………わかった」

    巌勝はやや不満そうな間をあけて承知した。
    獪岳は黒死牟よりやや薄い巌勝の胸板に身を預ける。優しく抱きしめられ、見上げると凛々しい顔立ちが微笑む。だが、尻に手が当たっている。むにむにされている。子供に見えない位置取りで自然にむにむにむにむにされている。

    「み、満たされました?」
    「今しばらく……」
    「長いぞ……!」

    巌勝は獪岳の耳に口付ける。獪岳がたまらずひんっと声を出すと、巌勝はふふと笑って蜃気楼のように消えていった。獪岳は歓声を上げる。

    「尻揉んで成仏した!」
    「幽霊ではないぞ……」

    心なしか残された二人の黒死牟から禍々しい気配が漂う。獪岳は一番強そうなのから消していけば良かったと少し後悔した。

    「では、次は第二形態の黒死牟様!」
    「……私は……健やかに脈打つお前を……今一度抱きしめることができたなら……それで十分だ……」
    「え?なんか俺死ぬみたいな言い回しじゃないですか?」
    「……」
    「死ぬんすか!?え!?いつ!?未来!?」

    キャンキャン騒ぐ獪岳を第二形態の黒死牟は、よしよしと抱きしめた。腕に生えた角が若干獪岳の体を貫通したが、細かいことは気にせず獪岳が生きている喜びに力を強めた。

    「あぁ……獪岳……活きがいい……」
    「ぅぐ、ちょ、まっ」

    第二形態の黒死牟もまた、蜃気楼のように消えた。

    「ぁー!せめていつ死ぬか知りたかった……!」
    「知ったところで日々励むしかあるまい……」
    「まぁそうですけど……」

    日々全力で生きているため、これ以上どうしようもないと言えばその通りだった。獪岳が涙を浮かべながら振り向くと、子・巌勝が期待の眼差しを向けていた。きらきらとした瞳。少し癒されて獪岳は、よしと気合を入れ直した。

    「さぁ!抱っこでも何でもしますよ!」
    「私は……獪岳と遊びたい」
    「お任せあれ!」

    また背負うと子・巌勝は嬉しそうに擦り寄った。ただ、怖がっているのか黒死牟からは見えないよう顔を伏せる。獪岳はなんとなく気まずさを察した。

    「あ〜、では一走り駆け回って来ます!」
    「うむ……すまぬな」

    黒死牟に頼られていると思うと誇らしく、獪岳は意気揚々と子・巌勝を背負い駆けて行った。
    それからしばらくして、獪岳が肌けた着物を手で押さえながら、べそべそと戻って来た。

    「ひぐ、うぅ、俺、子供相手に……っ」
    「どうした……まさか子供相手に手篭めにされたわけではあるまい……」
    「……」
    「…………」

    うつむき震える獪岳を黒死牟はなんだか申し訳ない気持ちで抱きしめた。

    「でも、これで解決ですね……?」
    「そうだな……助かった」

    獪岳は頭を撫でられ照れ笑う。黒死牟にぎゅうと抱きつくと、黒死牟は微笑んだまま蜃気楼のように消えてしまった。

    「……は?」

    ただ一人、獪岳だけが無限城の広間に空虚を抱いてたたずんでいる。

    「えぇえぇ!?黒死牟様!?黒死牟様ぁー!?」

    獪岳はあわあわ狼狽えた。おれ上弦の壱になっちゃうどうしようと慌てふためいた。いや、それはそれで悪くない。上弦の壱・獪岳爆誕である。すごい。格好いい。いやいや、弐と参にすぐ殺されそうだ。駄目だ駄目だ。というか黒死牟が消えてしまった。

    「っ……黒死牟様ぁ……」

    膝から崩れ落ちた音だけが虚しく響く。

    「俺……まだ黒死牟様に教わりたいことがたくさん……俺はこれから何を目標にすれば……まだなんの御恩にも報いていないのに……黒死牟様ぁぁ……!」
    「なんだ……?泣いているのか……?」

    潤んだ視界を擦ると、黒死牟が獪岳の顔を覗き込んでいた。

    「黒死牟様!黒死牟様!!」

    いつもは受身な獪岳にひしと抱きつかれ、黒死牟は思わず両手を上げて硬直した。獪岳はと言えば、蜃気楼ではないことを確かめるようになで回している。獪岳が甘えてくることに驚いて黒死牟も夢か幻かと目を見開いた。

    「もう!どこ行ってたんですか!」
    「今しがた戻ったところだが……?」
    「黒死牟様が増えたり消えたりして大変だったんですよ!」
    「ほう……また怪しげな血鬼術か……どう消したのだ……?」
    「えっ」

    抱きしめたり尻を揉まれたり悪戯されたり?と言えば、本人同士で嫉妬ありとわかった今、大変なことになるのは分かりきっている。
    獪岳は、パッと離れて踵を返した。

    「俺、問題解決の報告に行かないと!ぐぇ」

    襟首掴まれ持ち上げられて、宙ぶらりん。散々撫で回しておいて生殺しなど許すまじ。見透かしたように微笑む黒死牟に、引き攣った笑みを返すのがやっとだった。
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