消失何か、何故か酷い焦燥感に駆られている様な気がする。
日々、変わらずに過ごす。しかし何か、おかしい様な気がしていた。
でも正体は分からなかった。
だが暫くして正体が分かった。
それは北の国の魔法使い達が任務から帰って来た時だった。
「皆さん、任務お疲れ様です。いつも、ありがとうございます!」
「うむ。ただいま!賢者ちゃんもお疲れ様!」
「賢者ちゃん!ただいま!」
「よう」
「賢者様…」
みんなそれぞれ挨拶してくれてた。あれ?っと一人足りない事に気がついた。
「あれ?オーエンはどうしたんですか?」
「?…誰じゃそれ?」
「賢者の知り合いかの?」
「…えっ?……オーエンですよ、オーエン!北の魔法使いの一人の!」
双子が揶揄ってるのかと思い、もう一度聞く。
するとミスラとブラットリーまで。
「知らないですけど」
「誰だそれ?寝ぼけてんのか。賢者?」
「北の魔法使いは全員で5人ですよね!?」
「はっあ?起きてるか?4人だろうがっ」
「賢者の魔法使いは各国4人ずつじゃからの」
どんどん血の気が引いていくのが分かった。
「えっ?だってホワイトは…」
言い掛けてホワイトを見たらホワイトの身体は透けていなかった。
「我がどうかしたかのう?」
「…」
「賢者、お疲れかの?我らが癒してやろう!」
「お疲れの賢者を癒して進ぜよう!」
双子に両サイドからサンドされ、ふわっと浮き上がった双子に頭を撫でられた。
「いつも頑張っておるからの」
「よしよし」
皆がタチの悪い冗談を言ってるのでは無い事が分かった。
さらに最近の違和感の正体だと言う事も分かって慌て駆け出していた。
確かにオーエンと頻繁に遇うわけでは無いけれど何故今迄、気が付かなかったのだろう。
「あっ賢者!」
「どうしたのじゃ?」
双子に問い掛けられていたが返事を返す余裕はなかった。
それから遇う魔法使い達に次から次へと尋ねる。
「えっ誰?それ?」
「はあ?知らないけど」
「すみません…賢者様」
「知らない。誰だ」
「うーん。知らねーな」
「存じ上げませんが僕も一緒にお探ししましょう」
「知らなーい。わかんなーい」
「存じ上げませんね」
「すみません」
「すみません。わからないです」
「僕も…知らないです」
「…お疲れなんですね。賢者様の為に癒しの祈りを…」
「うーん。知らないな。ごめんね。賢者様」
「知らぬ」
「すみません。賢者様。ですが私もご一緒にお探しします」
次から次へ誰に聞いても誰もオーエンと言う魔法使いを知ってる魔法使いは居なかった。
でも、まだあと一人、彼なら絶対に知っているはずだと思いカインを探した。
だって彼の瞳は。
すぐにカインの後ろ姿を見つけてカインを呼ぶ。
「カイン!カイン!」
「うん?あはは!どーしたんだ?晶?そんなに慌てて?」
カインの元に辿り着き、走り過ぎて疲れて座り込みそうになるとカインが腕を持って支えてくれた。
下を向き、上がった息を整えながらカインに問いかける。
「はぁはぁ、カイン。オ、オーエンを、知りませんか?」
「んっ?誰だ?それ?晶の知り合いか?」
希望が絶望に変わる。
息が整い、顔上げ彼の顔見た。
何故、今まで気が付かなかったのだろう。
彼の瞳は異色ではなく、同色の綺麗な蜂蜜色だった。