この前支部に出したプリ5パロの力尽きた本文のなりそこない(おかしい)
暗く、観覧車の放つカラフルな光だけが辺りを照らす遊園地の中で、ドドドと拳たちがぶつかり、防ぎ合う音が響く。
(おかしいおかしい…!)
その拳を交わしあっている二人、ひとりは、黒いツノの生やす黄金とトパーズ色の、一部を長く伸ばし結っている髪を乱しながら、息を荒らげ相手の攻撃を光の無い目で焦りつつも防ぐ。
(おかしい…)
対して、もう一人の優位にたっている少年は
(なんで、そんな……!)
勝利と、その先にある人たちの笑顔だけを見つめて、身に纏っている王様のような衣装に見合う、星色にキラキラした瞳と自信満々な顔で次々と攻撃を放っている。
(なんでそんな、希望に溢れた顔をしているんだ!)
長い髪に角を生やした方の少年が動揺を極めて隙を見せた瞬間、もう一人の輝かしい目の少年が一瞬でその手に魔法で大きなオレンジ色の旗のフラッグを創り
(しまっ……!)
角の生えた少年の体を勢いよくそのフラッグで打ち、角の少年の体は宙に浮き、隙をつかれたせいで着地時に上手く体勢を整えられずに、強くそのからだをコンクリートの地面に打ち付けられて、地面が一瞬の時差を経てからドドドッ!という音と共に大きな亀裂を刻む。
「ッが……」
角の少年が弱い声を上げて倒れたままでいると、フラッグで打った、瞳の眩しい少年は一度彼の安否を気にするような顔をした後に、『これで懲りたか?』とでも言うように自信ありげに笑う。
「っ何故…こんな力が出せる」
「ふふん、俺はスターだからな!たとえ相手がこの俺、天馬司だろうと、俺の力は衰えん!」
「ちがうっ…!そんな話などしていない!」
角の少年は…闇の司は、自信溢れる司の態度に苛立ちを隠すこと無く、威嚇するように語気を強める。
「俺は何故、お前が俺に勝る力を持っているのかを聞いているのだ!俺の力はお前の力のコピー、それに加えてダークスノー様のお力も分けてもらっているのだぞ!──だから…お前一人の力なんかに、負けるわけが無いのだ!」
闇の司がそう声を荒らげながらヨロヨロと立ち上がると、司はそんな彼の言い草を笑うように微笑み、腰に手を当てていつもの司らしく言う。
「俺一人ではないぞ?例え今は離れ離れになっていても、ワンダーランズ×ショウタイムは固い絆で結ばれているからな!今ここにいなくても、あいつらの力は確かにここにあるのだ!大好きなアイツらに再び会うためと思えば、こんな試練造作もないからな!」
「なにをッ…訳の分からないことを!」
闇の司が清潔を保たれていた髪が、結っていた紐が千切れ解けてしまっていることにすら気づかないように、恨み篭もった表情で再び司に飛びつこうとする
前に、司がカッコイイポーズをキメる。
「大好きなみんなの為ならば!俺は絶対に、負けはしないのだ!」
「っ………!」
司のセリフに、闇の司の表情が曇る。
しかしそれは先程までの憎しみばかりが込められた表情ではなく、悲しみ、哀、のような感情が灯っていて
「ッ……俺には───…おれには、ッ、大好きな人なんていない───っあ、アぁァああぁあアぁあ──」
闇の司の目元は薄らと潤んでいて、それは彼の当て場のない感情を、外にこぼし捨てているようにも見えた。
☆☆☆☆☆
同時刻、そこは宇宙を縮小して現したような、おかしな空間だった。
息はできる。そしてその宇宙空間に散っている星の数々は全てバランスボール程の大きさに縮められていて、踏むとスーパーボールのように跳ねてそこかしこに飛んでゆく。
そんな空間で、激しい爆発音が響き渡っている。
音の正体はふたりの青年。全く同じ顔で、ひとりはもうひとりと対で真っ暗な瞳の周りにペイントを施していて、その少年の方が今の戦況は劣勢だった。
「仲間のため…?はっ、くだらないなぁ!ショーなんて僕一人いれば十分なんだよ!」
ペイントの青年が、闇の類が不敵に笑いながらその手に黒い魔力を込めて、闇の類が手を振りかざすとその魔力は一直線で類に向けられる。
「.....へぇ、キミはまるで...『昔のボク』のようなこ
とを言うね。」
「ッ」
その直後に偽物の類の背後から類の声が聞こえ、偽
物の類が振り返る、と同時に、類の手から錬金術師
の魔法のように、生み出されたショーステッキが勢
いよく偽物の類の腹をつき、偽物の類は声にならな
い悲鳴を上げながら、胃液を吐きながら後方へと文
字通り突き飛ばされ、火星のような星のレプリカに
衝突し、その星に強くヒビが入った。
偽物の類が腹のど真ん中を突かれたせいで痛む内蔵
に呻き声を上げながら細く目を開く。
と、目の前には自身の顔面を金属製のショーステッ
キで潰そうとする、自身と全く同じ顔が現れ、
「あぁああっ」
「おや、今度は避けられてしまったようだね。」
「きみっ、イカレているのかい」
「おや、それはどうしてかな」
類は質問と同時にもう一度闇の類に突き刺そうとシ
ョーステッキを振る。そして闇の類はそれを躱す。
が、類は逃げることなど許さずに何度も偽物の類の顔面を狙いステッキを振り回す。
「ボクはお前と、同じ顔なんだぞ」
「うん───でも、ボクじゃない。」
「ッ」
類はステッキを振り回すのをやめ、ステッキの上部を真っ直ぐ偽物の類へと向ける。
「【神代類】はワンダーランズ×ショウタイムの最高の演出家。ショーは仲間が必要なものだけれど、彼らの演出家は、ボクさえいればいい。」
類がそう言うと、類が手にしていたステッキの上部が強く発光し、激しい音と共に一直線に閃光を放つ。
そしてそれは 偽物の類の心臓を貫いて、その体を遥か彼方へと飛ばし、文字通り宇宙の藻屑へと化させる。
類がくるりとステッキを回すと、それは光の塵となって消えた。
「───偽物が本物に、勝てるわけがないだろう?」