彼岸花が嗤う/序章今日もいつも通りに武蔵神社で集会をしていた、創設当初から世話になり行き慣れた場所で東京卍會にとっての拠点とすら言える場所。そんな毎日と変わらないと思っていた、あんなことが起きる前は。
「なぁ」
「パーちんどうした?」
「なんて言えばいいかわかんねーけどよ、この神社にも行き慣れて東卍も大きくなった。懐かしく思わねーか?」
「パーが言いたいことわかる気がする、あの頃はまだ7人だったしね」
「あん時、特服作んの押し付けやがって....」
「三ツ谷止めとけ、言うだけ無駄だしな」
「まぁそうだな」
パー、三ツ谷、マイキーに俺は集会が終わってからずっと駄弁っていた。内容は創設当初の話でそんなに昔というわけではないが懐かしく感じるのはそれほどに大きい勢力になったということだろう、正直ここまで大きくなるとは思わなかった。
こうして集まってはバカできる、そんな時間が俺にとって居心地がよかった。
「ケンチン、場地達は?」
「神社の拝殿の方にまだ居るんじゃね?」
「俺達も行くか、因みに競走だから最下位は全員分のジュース奢りな」
「ってマイキー!もう走ってんじゃねーか!」
「ズリぃぞ」
そして俺達は拝殿まで競走し始めた。
「○○、東卍はデカくなった。下手したら狙われるかも知れねぇ....でも○○は何言っても聞かねぇし自分の信念を曲げねぇ、困ったことあったら言えよ?」
『うん、ありがとう。圭介も一人で抱え込まないでね?一虎も一緒だからね?』
神社の拝殿に俺と場地、○○で来ていた。今日はいつもより比較的に集会が早く終わったから時間が余り拝殿まで行かないか?という話になって今に至る、拝殿に来るのは久々で懐かしく感じる。
「場地懐かしいよな、東卍ができる前はここで集まって遊んだりしてたのに、今じゃ俺らも渋谷を拠点にしてる不良なんてよ」
「確かにな、黒龍を倒してからだよなここまで大きくなったのは」
『真一郎くんが許可するなんて思わなかったけどね』
もうこの3人で話すのはいつもの事だけど場地と○○の距離感だけはずっと慣れないでいた、懐かしい話を聞いていても目に入ってしまう2人。幼馴染にしては近い距離で兄妹とすら言える。前にマイキーが言ってた「場地達ってキスするような関係らしいぜ、前してる所見ちゃってさ〜」と長々と話されたのも懐かしい記憶だ。でもそれがちょっと羨ましかったりもする、心を支えてくれて寄り添ってくれる存在が居なかったから。それで場地達と出会ってからは東卍にいる事が楽しくて居心地もよかった、そういう環境をくれたのが場地と○○だった今でも感謝してる。2人には恩を返していきたい。だから今日もこの3人でバカをしていく。
「マイキー達の声が聞こえてきたし鳥居まで行こうぜ」
と言って俺達もこっちに向かって走ってくるマイキー達の方に俺達も行った。
俺達は場地達のいる拝殿に向かって競走してたけど場地達もこっちに走ってきてる、このままではぶつかりかねない。
「場地達こっちに向かってきてね?」
「確かにってこのままじゃぶつかる!!」
「うわぁっ?!」
『きゃっ!!』
「言った先から?!」
「おいお前ら大丈............は?」
「どうしたの場........地....」
案の定ぶつかり○○とマイキーがそのまま倒れてキスしてた。
「マイキー今すぐ退けって!!」
「○○大丈夫か?!唇切れてんじゃねーか」
「ごめん○○」
『マイキー気にしないで?不注意だった私も悪いから』
場地が○○に覆いかぶさってるマイキーを退けて○○の唇に触れる。遠いところから見てるからわからないが唇は切れていたらしい。まぁあんなに勢いあまって転けてキスなんてしたら切れるだろう。周りを見たらキスしていたことに各々の反応をしている。相手したらめんどくさいから放置しておくのが一番だ。
「とりあえず血を流さないと」
「手水舎行ってくるわ、行くぞ○○」
『うん、皆は先に帰ってていいよ。もう解散の時間だし、また明日ね』
場地と○○の手水舎に向かう背中を見守った後にもうそんな時間かと言った三ツ谷を筆頭に愛機のあるいつもの駐車場に向かうはずだった。
「いった!」
「どうしっ....いってぇ」
マイキーとパーが鳥居を潜ろうとしたら見えない壁みたいなものにぶつかったように見えた、急なことに思考が追いつかない。
「なんだよこれ、蹴っても殴ってもびくともしないな」
「さっきから蹴ってんのによっ!」
三ツ谷と一虎が殴っても蹴ってもヒビひとつ入らない、見えない壁ではなくて結界のようだ。
「俺達は神社に閉じ込められたって考えた方がいいんだろうな」
「ドラケンどういうことだよ」
「三ツ谷や一虎が蹴っても見えない壁みたいなのにはヒビすら入ってねぇ、どう見たって結界だな」
「マジかよ、俺達ホントに神社から出れねーのか?!」
「パー落ち着け」
「マイキー」
「とりあえず場地達と合流しよう、あっちもなんかあってからじゃ遅いからな」
俺達は鳥居に結界があって外には出れないと知った、こんなことになるんて思いもしなかった。集会が終わった後は他の奴らが鳥居を潜って帰って行くとこを見た限り俺達だけが閉じ込められたと思うしかない。俺達は手水舎にいる場地達の所に向かうことにした。この時俺達は閉じ込められただけだと軽く見ていたが後悔することになると知ったのは事を見た後だった。