龍馬さんが以蔵さんと付き合ってると思ってる話1「以蔵さん?」
忙しい通勤ラッシュ、また寝坊したと走って会社に向かっていた忙しい人達が行きかうスクランブル交差点。
相手は歩いていて、のんびりと思わず名前を呼び腕を掴んだ。
「龍馬?」
大きな琥珀の目を見開いてぱちくりとされた。
十年ぶりに再会した幼馴染だった。
「遅くなって、ごめんね」
指定された居酒屋は賑わっている。
比較的、会社から近かったので数分程度の遅刻で済んだ。
「会社勤め、大変じゃの」
テーブルを見れば、そこにあるのは冷えた水と温かいお茶だけだった、あとは喫煙者ゆえにその手に煙草を一本挟みふかして待っていたようだ。
喫煙席でくつろいで待ちながらいじっていたスマホをズボンの後ろポケットにしまう。
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