NWH後のがすぱくんとマックスの話.
「やっと見つけた!」
「………よう」
ずっと探してたんだ、と早口で喋る彼は、今日は見慣れた蜘蛛のマスクを付けている。今ここで大声を上げて逃げ出せば、きっと自分は犯罪者として、道ゆく人々の注目を集められることだろう。いや、既に周りからはそう思われているかもしれない。
「元気そうでよかった、会いたかったよマックス」
「俺は別に会いたくなかったな、バグボーイ」
サーチライトみたいなその目を見上げながら、そろそろと両手を上げる。なんの力もない今、逃げても腹が減るだけで、どうせ結果は同じだ。それに行く宛もない。俺が犯罪者──彼の獲物であることも間違いないし。
*
俺が「こちら」の世界に戻ってきたのは数日前のことだ。いや、ちゃんと元の世界に戻ってきたのかは分からない。この前と違って、次元の違いを知るすべが何もないからだ。誰にも会ってないし、前に住んでいた家にも帰っていない。今日がいつかも分からない。
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