寂雷が獄とSMプレイを検証する話 3放心した寂雷を濡れたタオルで拭いていると、うん…と身じろいで目を覚ました。
「獄…」
「シャワー、浴びてくるか?」
「うん…」
「一人でできるか?」
「うん…」
どこか惚けたような様子でふらりと立ち上がると、浴室へ赴く。
薄暗い部屋の中、灯りの付いたバスルームから暫くシャワーの音がしていたが、ものの20分ほどでそれは止み、やがてバスローブをまとった寂雷が姿を表した。
乾ききらず湿った長い髪が背中に落ち、首に掛けたタオルを浅く濡らしている。
自分も浴室を借りてざっとシャワーを浴びる。
湯気の中に花みたいな、柔らかい柔軟剤の残り香がして思わず胸の奥まで吸い込んだ。
あいつから時折香ってくるのはこれだったのかと、改めて気付かされる。
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