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    るあん

    ラディッツとタレラディばかり描く妖怪。たいていそのままツイッターに載せます。
    ここにアップするのはワンクッション置きたいスケベ絵、もしくは原稿の進捗だけ。

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    るあん

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    こんな感じのダイズくんがタレと出会うまでの話を書きたい描きたい

    光の行方(仮)「お、お慈悲を…どうか……っ!」


    幾億人から聞き飽きたその言葉に、この場の誰が意味を見出そうか。
    複数人の兵が向ける切先に、額を地面に擦り付ける男が写る。


    「どうかお願いです…!私には妻も子もおるのです…!これ以上は…生活が……」


    薄汚れた着衣はところどころ破れ、隙間から真新しい傷が覗く。地に着く震える手に、血と汗がだらりと流れ着いていく。
    やがて一人の兵が、ゆっくりと前に進み出た。


    「…そうかそうか、お前には妻も子もいるのか」


    一人の兵がそう静かに口にした。
    ハッと顔を上げた男は「はい、ですから…!」と涙ながらに訴えるのを、兵は刃を向け制止する。


    「それは気の毒なことだ。

    ならば……


    妻と子がいなければ都合が良いわけだな?」


    真深く被る兵帽がニタリと笑む。


    「ッ!!お、おやめを  ーーーーーーー」

    男が叫ぶが先、令を出す兵の右手が後方にいた幼子を抱える女へと向けられた…………



    ------------------------------------------


    穏やかな風が、緑の癖毛を撫でてゆく。
    時折、金属の耳飾りが風に揺れ、チャリ…と音を立てた。

    頬杖をつき大きくため息をつく男は、退屈げに石造りの窓枠から外を眺めていた。
    否、退屈に見えるかもしれないが彼にとっては、そうではない。何も起こらず時が過ぎ去ってほしい。彼はいつもそう願う。

    だが無情にも、眼下の重々しい門が開く音が、それを許さなかった。
    目下に目線をずらせば、荷車が門を通過し、城へ続く石造りの橋を渡って向かってくるのが見えた。


    「………また、か…………」


    そう呟き、立ち上がる。彼はその後の展開を知っている。
    おそらくノックされるであろう扉を見つめていると、いくつかの足音が扉の向こうから鳴り出し、彼の予想通り『コンコン』と音が響いた。


    「失礼します、ダイーズ王子」


    しゃがれた声がしたのち扉が開くと、軍服の兵士が2、3人入室し、順に"王子"と呼ばれた男に敬意を示す。バッジから上級兵と見てとれる最後に入室した兵は、コホンと咳払いして居住まいを正す。


    「ダイーズ王子、本日も"王から"の賜物をお預かりしております」


    ダイーズにとっては、"幾億回"も聞いた言葉である。興味などはないが、兵たちに罪はない。返事をしないままでいるのもいつもの通りだ。兵は構わない。
    上級兵が後方へ合図を下すと、下級兵が何か赤い布で覆われたものをダイーズの前まで持っていき、丁寧に布を四方にめくっていった。

    そこには美しく磨かれた貴金属が鎮座していた。
    アクセサリーにも見える。だが、この地域では見ない…なんとも珍しいものだ。


    「これは?」


    そうダイーズが尋ねると、興味を示したと思ったのだろう、目の前の下級兵は興奮げに口を開いた。


    「素晴らしいでしょう!ボチャ村の奴が家の中に隠し持ってたんですぁ!まったく…年貢も納めねぇでこんなものを…」


    よく見れば、その金属には文字が彫ってある。すり減っていて読めないが、名前ほどの長さの文字が2つ……あぁ、やはり………


    「家族を潰したか」

    「へい!ギャンギャン喚くもんで全員一撃で静かにしてやりました!」


    そう、得意げに語る彼にとって、これは"手柄"。
    そして、

    「これを王にお見せしたところ『これは素晴らしい品だから王子に』とのことでして!」


    彼の"手柄"が王子に献上する『大手柄』になったのだ。
    自分の実力が認められたのだから、ここまで得意げにもなるというものだ。




    ーーああ、

    なんてバカバカしい。




    "幾億回"もダイーズは思うのだ。
    だが"幾億回"とも彼は微笑む。


    「…よくやったな、だが…オレには勿体無い。お前が持っていてくれ」

    「え…っ、よ、良いのですか?」

    「あぁ構わない。お前の手柄、だろう?」

    「あ、あぁ、あっ、ありがたき幸せぇ!」


    兵は持っていたそれとダイーズを、交互に何度も拝むと顔を赤らめながらそそくさと上級兵の元へと戻った。興奮気味の下級兵と対照に上級兵は面白くなさそうに眉を寄せるが王子の言うことに反言する身分ではない。


    「それでは失礼します、ダイーズ王子」


    敬礼をし、入りと同じく順に兵が部屋から出ていくのを、ダイーズは微笑んで見送る。



    ーーバタン


    扉が閉まったところで、別人のように落ちる口角。

    「はぁ…………」

    漏れるのはため息だけではない。

    「クソオヤジめ………」

    ドッと力無く、さっきまで座っていた椅子に腰を落とす。


    ここはプキンパ王が統治する星、カボーチャ星。
    ソイソ人で構成された民族が暮らしており、王朝としての歴史は古文書にも残らぬほど古い。
    ダイーズはプキンパ王の一人息子、つまり王子である。

    しかしその立派な王子の口から溢れる王…否、父親への不満…
    何も初めからこうだったわけではないのだ。
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