りょも刺されそろそろ血を吸って異常にも肌を痒くさせる虫が登場する季節だろう。既にいるのかもしれない。
あれらの主食は花の蜜だという記録があるのだが、どうやら雌のみが産卵の為に血を吸いにやってくるのだという。
対処法は極力窓を開けないで過ごす方法なのだが、如何せん少しだけ日照りの強くなってきたこの時期は室内が蒸される様に暑い。
あまり肌を露出しない方が良いだろう。
流石に衣まで貫通してくる様な強靭な口器では無いだろう。
「……」
しかし暑い。
器に入れた水を飲んで喉の渇きを癒すのだが、数刻も経たぬ内に汗として出てしまう程には暑過ぎる。
腕に抱えた存在を抱き締める魯粛は適当な書物で仰いで僅かな涼しさを得ていた。
「ろしゅ」
「ん?」
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