今と向き合う 三雲は一人になると怖くなることがある。それはレプリカを失ってから余計に酷くなったような気がするし、なっただけで変わりないのかもしれない。ただ、恐怖の原因は変わらない。――死。自分を引き付けてやまない、小さく、かと言って弱くない、むしろ力強い存在の命。眠ることを必要としない身体は多くの事を見てきただろう。そんな彼――相棒の命はどのくらい持つのか。そんな疑問が、ふと心を支配する時がある。
まぁ、三雲はそれを見ないふりする事を選ぶのだけれど。
「オサムは難儀な奴だ」
一月の終わり、松葉杖をついて学校に登校した三雲。帰りは支部に寄るからと、親の迎を断り空閑と川沿いを――雨取は本部に用事があると言い、別行動をしている――歩いていた。
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