アッシュとハンナ ある日の昼下がり、談話室のソファで、ハンナはとある報告書とにらめっこをしていた。どうやらメルエアが書いたものらしい。常人には理解し難いそれを、ハンナは懸命に解読していた。
「太陽生産局………りんご……UFOキャッチャー……?」
報告書を顔にくっつけるくらいに寄せ、ぶつぶつと呟きながら暗号の意味を考える。考えれば考えるほど頭がショートしそうだった。
「隣、いいかい」
疲れた声が聞こえた。ハンナは報告書から目を離さずに、機械的に「どうぞ」と答えた。彼女の意識はまだ暗号解読に集中している。数日研究室に缶詰めだったアシュタロトが、小さいうめき声とともに深々とソファに身を沈めた。疲弊した様子で顔に手をあて、空を仰いでいる。はぁ、と息を吐くと、そのまま体を横に倒した。
1077