すこしまえ 下ろしたての服に着替えて、二人、街を行く。
着慣れない服はどこかむずがゆい。けれど、敬愛する入間の服を選ばせていただけることも、己の服を選んでいただくことも、アスモデウスにとってはたまらなく光栄で──胸の踊ることだった。
週末のマジカルストリートはどこもかしこも賑やかで、ショーウィンドウも道行く悪魔も、鮮やかに入間の背景を飾っている。
〝二人きり〟の緊張は、あっという間にお出かけの楽しさに紛れてどこかへいってしまった。魔んじゅうに、ソフトクリーム。街角のあちらこちらで手招きをする誘惑に、ふらふらと吸い寄せられるのだって入間と二人なら楽しい。冷たいアイスが溶けて、コーンのおしりをふやかしてしまう前に、アスモデウスは最後の一口を唇に押し込んだ。
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