「よう、もうホームシックかい?」
突然真隣から聞こえた声に、フリスクはハッと振り向く。細長いグラスを片手に、もう一方の手ではベンチの手すりで頬杖をついて、まるで一時間前からここで寛いでいたかのような様相のサンズがそこにいた。
驚いた顔のフリスクを愉快そうに眺め、グラスの中で小さな気泡が上がる黄金色の飲み物をゆらゆらと揺らしている。
「違うよ」
涙を見られたことと、驚かされたこと、そのどちらもがフリスクには気恥ずかしい。急いで目の端に残る涙を手で払い、サンズが寄りかかる手すりとは逆の方の手すりに少し寄りかかるようにして、サンズから距離を取った。
実のところ、フリスクは今日…いやもう何ヶ月も前からサンズを少し避けていた。決して意地悪でということはない。むしろ、その逆の理由で。
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