どうか…名前も知らないあなたにいつしか歳を重ねなくなっていた
そう気づいたのはかなり前のこと
自分が周りの人と違ってしまったと自覚したのは中学生になった頃
周りの人はみんな身長が伸びたり、声変わりしたりなどがあった
だけど自分にはそれが一向に来なかった
分かってしまった。分かりたくなかった
自分だけ置いていかれてるような気がした
卒業と同時に全てを捨て、全て消した
自分がいたこと、戦ったこと、全て
全てが無かった事にしたかった
そうでもしないと気が狂いそうだったから
あれからどのくらい時間が経っただろう
ユゴスピアの子ども達は少し大きくなった
あいつは大人になったのかな
世界中を巡り巡っているんだろうな
世界の謎を追いかけているのかな
そのまま自分も見つけてくれないかな
いつしかあの子達は大きくなった
なのに自分は成長がない、子どものまま
自分は何ひとつ変わらない
何もやることがなく、ぼーっとする
最近頭にもやがかかって上手く考えられない
記憶自体が曖昧だった
あの時何が起きたのか、誰と一緒にいたのか
思い出せなくなってしまったんだ
すごく頼もしくて大好きだったのに
今では顔も声も、名前さえ思い出せない
でも何故かすごく会いたくなる
誰なのかも分からないあいつに会いたい
そんな欲に駆られてしまう
そう願ってみるけど誰なのかも分からないあいつが自分を見つけてくれるはずもない
ああ、このまま眠ってしまいたい
変わらないならこの姿のまま眠りたい
長い夢ではどうかあいつの元に行けますように
願いを込めてそっと目を瞑った
地球からは緑の光がそっと近づいていた