純白の結婚、漆黒の記憶 その男と行動を共にするようになって、一度冗談のように尋ねたことがある。
「もう俺にはオマエしかいないんだとしたらさ、オマエのこと、抱いていい?」
その男、脹相が、あまりにも自分に優しくするものだから。
勘違いしたわけじゃない。ただ少し、意地悪を言ってみたくなっただけだった。
自分の何もかもを受け入れてくれて、一緒にいてくれるこの男は、どんな反応をするのだろう。俺たちは兄弟だろうと、困った顔をするのが見たいだけだった。もしかしたら、本当にそれすらも受け入れてくれるかも知れないと、試したいだけだった。
俺の聞き方が、あまりにも軽かったからなのか。男から返ってきた答えは、意外なものだった。
「それは、オマエが俺と結婚したい、そういう意味か?」
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