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    Syo235342399

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    小ネタで1000文字くらいにしようと思ってたら導入部分で3000文字超えちゃったので普通にシリーズにしようかとしてるものです。モチベ上げのためにぽいぽい。年齢操作、現パロ、一般人、死ネタ(?)などが含まれています。長い間放置してたので繋がってないとこあるかも。

    ロマ普未満珍しい容姿を持った子供がいた。光を受けてキラキラと輝く銀色の髪にガーネットのような紅の瞳を持つ子供だ。
    ある人はそれを神の使いだと言い、ある人は奇跡だと言い、
    またある人は悪魔だと攻撃した。老人のそれのような廃れた灰色の髪だと言った。血の色をした残酷な目だと言った。
    その少年は不幸にもその少数の人々に罵られ、殴られ、ついには命を落とすこととなってしまった――



    「……ケ・バッレ」
    いつものように寝坊してしまったロヴィーノはそう独りごちた。朝からヴェーヴェーと騒ぐような弟とは離れて今は1人で暮らしているロヴィーノは、あれほどうざったかった弟にもあの頃はだいぶ助けられていたんだなと今更になって思う。それはそうとしてまずは会社に遅れないように早々と支度をする。もはや余裕のある朝など久しくなってしまった。多少遅刻には寛容な会社ではあるがそう何回も許してくれるほど甘くは無いのだ。最近何か小言を言われることこそないものの、周囲の視線は段々ときつくなっている気がするのだ。気がするだけなのかもしれないが多分気のせいではないだろう。今日こそは遅刻しねえ…いや出来ねえ!と思いながら数年ぶりに本気を出していつもは欠伸をしながら歩いて行く道を走った。住んでいるところからそう遠くないからと出勤手段に歩きを選択してしまったロヴィーノは過去の自分を少し恨んだ。
    「くそっ…こんなことなら車買っとけばよかったっ」
    昨日の時点で上司の顔がものすごく怖かったので今日こそは怒られる!と若干涙目になりながら走っていると、いつもポツンとある公園に銀髪の中学生くらいの少年がブランコの柵の所に1人で座っているのが見えた。必死に走っていたのでただの見間違いかもしれなかったのだが、ロヴィーノの脳裏には妙に焼き付いて離れない光景となった。



    なんとか無事に会社に着くと、ちらと壁にかかっている時計を見た。針は始業時間ギリギリ1分前の所をさしており、上司からの目線は厳しいものではあるものの、何とか叱られるルートは回避したようだ。久々の全力疾走により酸素をこれでもかと欲している肺に精一杯酸素を詰め直し、ほっとしながら仕事に取り掛かる。学生だった頃が懐かしい。あの頃は社会人になれば自由になれると思っていたが、現状はこれである。入社1年も経たずにクビになるのは何とか阻止したいと大汗をかきながら出勤することになるなんて…(確実にロヴィーノが悪いのだが)と仕事というものの面倒くささを舐めていたあの楽だった頃を思い出しながらキーボードを叩く。デスクに向かっても久々に走った故の疲労からか、集中力が途切れてなかなか進まない仕事にため息をつくと、ふとあの公園で見た少年を思い出した。ちらと見えたのは一瞬で、本来なら記憶の片隅にも残っていないようなものだが、あそこにいた少年が随分と寂しそうで妙に気になった。さすがに居ないだろうけど仕事終わりにまた見てみるか、通勤路だし。と思いロヴィーノは再び進まない仕事に取り掛かった。



    「お疲れ様でーす」
    「お疲れ様ー」
    やっと終わったぞ…と伸びをしながらロヴィーノは帰路につく。朝見た少年はまだいるのだろうか?さすがにいねえよなと思いながらも何故か直感はまだあそこにいるぞと囁きかけてくる。妙な感覚に引き寄せられながらロヴィーノはいつもゆっくりと進む道を急いだ。
    たどり着いた公園には予想通りというかなんというか少年が朝見たままにブランコの柵の所に未だ座っていた。少年は俯いていてどんな顔をしているのかわからなかったが、ロヴィーノが少年のことを見ていると、不意に少年の顔が上がりロヴィーノと目が合った。
    「ちっ、ちぎっ…なんだよコノヤロー」
    目が合うなんてことを考えていなかったロヴィーノは驚いて咄嗟に話しかけてしまった。荒っぽい自分の口調にしまった、と思いながら少年に近づいた。少年はそれに反応することなくロヴィーノをじっと見つめている。猫が警戒心をみせて相手をじっくり観察しているかのようだった。俺ってそんなに怪しく見えんのか?いや中学生くらいの少年に見知らぬ成人男性が話しかけるなんて怪しさ極まりねえじゃねえかと心の中で自分にツッコミながら冷や汗をかくが、話しかけてしまったものはしょうがないと踏ん切りをつけて歩を進める。ロヴィーノと少年の距離が一尺くらいになった時、少年が口を開いた。
    「……俺がみえるのか?」
    「は?」
    何言ってるんだこいつ…幽霊かなんかなのかよ、俺見えねえ体質なんだから幽霊とかじゃないよな…こいつの体が光ってたり薄れていたりしたら別だけどよ、そんなこともねえじゃねえか、どういうことだ?と若干恐怖を感じながら思う。
    「見えるも何もお前人間だろ?まさか幽霊だなんて言わねえよな?ってかお前朝からずっとここにいんのか?」
    困惑した様子でロヴィーノが問う。そういえば容姿はなんか浮世離れした感じあるな……銀色の髪の毛に、赤い目…珍しいけどいなくはなかったよな?なんか聞いたことがあるぞ…
    自分から問いかけておきながら答えを聞く前に悶々と考えているロヴィーノの様子を感じたのか否か、少年は無表情でポツリと答えた。
    「俺は、もう死んだんだよ。多分幽霊ってやつだ…透けてはないけど」
    は?まじか?幽霊?本当に?
    ロヴィーノがわけが分からないと混乱してるのを見て少年はくすりと笑った。
    「…ギルベルト」
    「…?」
    「俺様の名前、ギルベルト・バイルシュミットってんだ。お前は?」
    「ああ、名前…ロヴィーノだ。ロヴィーノ・ヴァルガス」
    自己紹介をして落ち着いた様子のロヴィーノはギルベルトの隣に腰掛けた。
    「んで、お前はこんなとこで何してんだよ?なんか未練でもでもあんのか?」
    「わかんねえ。わかんねえからすることも無くてぼーっとしてたら結構たっちまってたみたいなんだよな」
    「ぼーっとで済む時間じゃねえ気がするのは置いといて、お前…ギルベルトだったな、これからどうすんだよ」
    「え、あーそうだな…どうしよう…しばらくここら辺にいよっかな、特にやりたいことねえし」
    そう言って目の前の彼はふわりと少し宙に浮いたかと思うと、そのままロヴィーノの周りを漂った。突然のことに目を見開くロヴィーノに、やっと信じたのかとでも言うようにニヤリと口角をあげた。
    「と、突然浮くなよ!びっくりしただろうが!…ほんとに幽霊じゃねえか、いやまあお前カミングアウトしてたしそうなんだって思いはしようとしてたけどよ……」
    先程の衝撃がまだ消え去っていない様子でブツブツと呟きながらギルベルトを少し睨む。
    「無意識なんだよ、仕方なくねぇ?」
    すまねえ、と小声で言い、睨まれてしょんぼりとした顔になってギルベルトは地面に降りた。幽霊になってから移動手段は大抵が浮遊だったギルベルトにしては無意識でしてしまったことは仕方ないと言えるだろう。そう判断したロヴィーノは、幾分か視線を和らげてギルベルトの方に向き直った。
    「いや、信じなかったこっちも悪かったな…謝、りはしねえからな!」
    素直にものを言えないロヴィーノはギルベルトの気をまたも害してしまったかとキツめの口調になったのを後悔したが、当の本人はほっとしたような表情でロヴィーノを見ていた。
    「な、なんだよ、」
    「や、もう嫌われたかって思ったけどそうじゃなかったから安心しただけだぜ」
    「おー…」
    微笑むギルベルトの言葉に照れてしまい、若干赤くなりながらそれを誤魔化すようにそっぽをむくと、ほっそりとたっている時計が目に入る。仕事場を後にしてから随分時間がたっていることに気づき、そろそろ帰らなければと口を開いた。
    「あー…随分話し込んじまってたみてえだな、初対面でお前が幽霊で、色々びっくりだわ。俺、そろそろ帰るけど、お前、ここに残ってくのか?」
    「え?もうそんな時間経ってた?そういえばさっきより暗くなってんな、ちょっと残念だけど帰らせてやるぜー。俺様はそうだな、しばらくはここら辺さまよっとくぜ。特にやることもねえしな、飽きたらまだどっか行くし」
    特段なにかに困った様子もなくギルベルトは答えた。幽霊というものは寝食などは必要がないらしい。故にあまり人に頼るなどすることも無く過ごしていられるのだ。まあ、初対面の見知らぬ人間を頼るなんて傍からないよな、と思いながらカバンを持ち直す。
    「そうか、じゃあな」
    少し素っ気なくなってしまったが、短く挨拶をしてギルベルトから離れる。ありがとなーと手を振る彼に感謝されるようなことはしてないはずではあるが、気持ちは受け取りひら、とロヴィーノも手をあげた。



    家に着いて、すぐにシャワーを浴びた。なんだかんだ色々あったようななかったような1日だったと今日を振り返り、公園での彼のことを考える。しばらくはここら辺にいるつもりだと言っていたが、どのくらいなのだろうか、もし明日もあそこにいたらまた話しかけてみようか、幽霊だなんて信じるつもりはサラサラなかったのに、あんなモノに出会って、且つ目の前で科学的に不可能なことをやって見せた彼は本当に幽霊だったのだろう。もしかしたら自分は夢の中にいるのかもしれない。頬をつねって見るもじんわりと感じる痛みが、これは現実だと主張する。話していた時はあまり気づかない振りをしていたがもしかしたら幻覚だったのかとさえ思ってしまうが、生憎ロヴィーノはそこまで追い詰められるような精神状態に至ったことも、クスリなんかもやってはいないので、やはり本物だったのかもしれない。自分の記憶と今までの自分の中の常識が矛盾している現象に、少しだけまた混乱するが、今それを確かめ、ちゃんとした証拠を作り上げるのも難しいことは傍からわかっており、やっぱ明日また確認してみるか、と結論にならぬ結論を出し、明日早めに起きれるよう、いつもより幾許か早めにベッドに入る。ぐるぐると確信を得ないことをずっと考えていたロヴィーノの脳は、思ったよりも疲れていたようで、朝、職場まで全力疾走したことによる体の疲れも相まって、すぐに夢の中へと誘われていった。
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    ロマ普未満珍しい容姿を持った子供がいた。光を受けてキラキラと輝く銀色の髪にガーネットのような紅の瞳を持つ子供だ。
    ある人はそれを神の使いだと言い、ある人は奇跡だと言い、
    またある人は悪魔だと攻撃した。老人のそれのような廃れた灰色の髪だと言った。血の色をした残酷な目だと言った。
    その少年は不幸にもその少数の人々に罵られ、殴られ、ついには命を落とすこととなってしまった――



    「……ケ・バッレ」
    いつものように寝坊してしまったロヴィーノはそう独りごちた。朝からヴェーヴェーと騒ぐような弟とは離れて今は1人で暮らしているロヴィーノは、あれほどうざったかった弟にもあの頃はだいぶ助けられていたんだなと今更になって思う。それはそうとしてまずは会社に遅れないように早々と支度をする。もはや余裕のある朝など久しくなってしまった。多少遅刻には寛容な会社ではあるがそう何回も許してくれるほど甘くは無いのだ。最近何か小言を言われることこそないものの、周囲の視線は段々ときつくなっている気がするのだ。気がするだけなのかもしれないが多分気のせいではないだろう。今日こそは遅刻しねえ…いや出来ねえ!と思いながら数年ぶりに本気を出していつもは欠伸をしながら歩いて行く道を走った。住んでいるところからそう遠くないからと出勤手段に歩きを選択してしまったロヴィーノは過去の自分を少し恨んだ。
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