隣で眠る恋人を起こさぬよう、そっと身を起こす。確か自分が床に就いた時は一人だった。いつの間に帰ってきたのだろうか、とは言えもう一人は何日も帰ってきてはいないのだが…
奇妙な生活をしている、と二人は言う。自分にとってそれはどうでもいい事なのに。好きな人と暮らすことの何が奇妙なのか。まあ、その相手が一人ではなく、二人なのだが。
俗に言う二股とかそう言うものではない。三人で話し合って、決めた事は事実だし、実際大きな喧嘩も啀み合いも、嫉妬すらない。あの二人は…ヴィルとザックの関係は友人としては最高のモノなのだろうと、端々に感じる。言葉であったり行動であったり様々だが。
ヴィルの顔に張り付いた銀髪を撫でたい衝動を抑えてベッドから降り、個室から出る。ゆっくり後ろ手に締めて、綺麗に飾ったクリスマスツリーを通り過ぎて階下へと進む。特に約束したわけではないが当日はどうしようか、など、取り留めなく考えながら降り切って、キッチンへと向かった。
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