意味強く生きろと残された言葉は呪いのように自分を蝕む。いつまで、どこまで?解放されたい訳じゃないのに、その言葉が自分の周りを霧のように纏わりついて離れない。重く湿った独特の空気は嫌いじゃないが昼に見るには強すぎる。ザナラーンに時折発生するこの気候は珍しく、明るく晴れた青空と白く烟る視界の差異がなかなかに絶妙だ。蜃気楼のようにゆらめくバーニングウォールを遠目に見ながら、召喚獣をそっと撫でる。
目を閉じればあの時の光景が色鮮やかに再生される。そろそろ色褪せて欲しいものだが、自分の意志では難しい。いや、鮮やかにしているのは自分自身なのかも知れない。
猛々しく斧を振るう相棒の背中を追いかけ、時に諌めた。木漏れ日の下で彼を座椅子代わりに昼寝した事もある。あの日々は夢だったのかと錯覚する事もあった。
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