はじめの怪異田中一は孤独だった。
人に心を開きづらく、どこまで踏み込んでいいのか分からない。
日々をやり過ごすのに苦労はしないが、深い仲を築くことはできない。
友達と呼べる相手がいるかと問われても名を挙げられない。
たまたま縁ができてもその内うやむやとなり消え去ってしまう。
田中一は孤独だった。
しかしそれはとてもありふれた孤独だった。
そんな孤独を打ち明けたところで誰も顧みる者はいない。
いっそう寂しさが募るだけだ。
ところが、最近風向きが変わった。
「おにーさん」
振り返ると予想したとおり、ツインテールの少女がいた。
「今帰るところですか?」
「……ああ」
「じゃあ一緒に帰りましょ!」
そう言って田中の腕に抱きつく少女。
「一緒に帰るって、おまえの家じゃないだろ」
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