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    いっちょぎ

    色々やらかす腐った大人。
    現在は休暇。に大ハマりして、リゼルさんを愛でつつジルリゼを愛して精ゔんを可愛がっております。

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    いっちょぎ

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    じるりぜ。
    両手首を縛られたじると、そんなジルに翻弄されるりぜさん。
    ……のネタの冒頭です(笑)
    いつかリス限で書きあげる予定……は未定。

     ふんふん、と鼻歌でも聞こえてきそうな程楽し気なのはリゼルだった。
     何かと冒険者の話題に上る、冒険者最強の『一刀』の話は、勿論リゼルの耳にも届いている。その中で意外と聞くのは、迷宮の罠に引っかかって拘束されても、一刀はあっさり抜け出しているらしいというもの。確かに多少の強度ではジルを拘束する事など出来ないだろうし、ぶちぶちと音を立てて拘束を振り解いている姿も簡単に想像出来る。
     そして何より。
    「ジル。両手、拘束させて下さい」
    「……あ?」
     やけに可愛らしいリボンを手にした朗らかなリゼルのおねだりに、ジルはあからさまに嫌な顔を見せた。
     少し気温の下がった夜。すっかり定位置になりつつある宿のジルの部屋。いつものように夕食を終えてシャワーを浴びてジルの部屋を訪れたリゼルは、ふと思い出したようにベッドに腰を下ろし、ゆったりとヘッドボードに背を預けながら本を読んでいたジルを見上げた。
     じゃん、とリボンを手にキラキラした目でジルを見上げてくるリゼルに、言いたい事は山程あれど何も言えず、ジルは深い深いため息をつく。
    「いきなり何だ」
    「今日、冒険者ギルドに行った時、君が迷宮で拘束を力づくで引きちぎってた話を聞いて思ったんです」
     一体何を聞いているのか。
     若干の頭痛を覚えつつもにじり寄ってくるリゼルを見下ろせば、彼は輝くような笑顔でリボンを握り締めた。
    「でも、君はきっと俺がお願いして拘束したら、引きちぎるなんてしないだろうなって思ったら、試したくなったんです」
     相変わらず、リゼルの興味の行き先が解らない。
     だが、リゼルの「お願い」がジルに通じると思っている、一歩間違えば傲慢にすらなるだろう当たり前の事実に頬を染める様には突っ込みようがない自分の甘さも、ジルはちゃんと自覚している。若干リゼルのズレた常識に引きずられている自分を自覚したのは、最近の事だ。
     ジルはやっぱり深いため息をついて、だが何も言わずに本を閉じると、両手をリゼルに差し出した。
    「やってみるか?」
     ぱっと目を輝かせて、リゼルはこくこくと頷いた。
     両手首を合わせるように重ねてリゼルに差し出されたジルの両手を、リゼルはいそいそとリボンで結ぶ。骨ばったジルの手を重ねるようにリボンで縛ったリゼルは、その重ねられた大きな手を両手で包み込みながらどこかうっとりと呟く。
    「……君を拘束するなんて、すごい背徳感を覚えますね」
     リゼルの感動が、ジルにはイマイチ解らない。
     だが、リゼルはとろりと目を細めて、リゼルが望むまま拘束され、縛られたジルの手に頬を染めた。
     この冒険者最強と言われて、誰よりも羨望と憧憬を集めているだろう男が、リゼルが望めば束縛を受け入れてくれる。誰よりも孤高の存在であるはずの男が、こうして自分の小さな欲望を叶えてくれる。その奇跡のような事実。
     その奇跡のような事実を噛み締めるようにまじまじとジルの手を見下ろしていたリゼルはだが、不意にその両手がすぽん、とリゼルの頭から通され、ぐっとジルの足の間に引き寄せられるに至ってぎょっと目を見開いた。
    「ぅわ! ……え、ジル……?」
     拘束されたまま、リゼルの腰に回ったジルの手。力の差もあってほとんど抵抗なくジルの足の間に抱き寄せられて、弾かれるように顔を上げたリゼルは、にんまりと人の悪い笑みを浮かべたジルに気付く。
    「お前を抱きてぇって思ってたけど、両手が縛られてるからな」
    「え?」
    「……今夜は、お前が全部やってくれるんだろ?」
     意味深に、低く笑ったジルが身を折るようにリゼルの顔を覗き込む。
     色味を深く変えてくる灰銀の瞳を見上げていたリゼルは、突然ジルの言う意味を悟ったのか、声にならない悲鳴を上げてジルから飛び退こうとした……のだけれど。
     両手首を縛られたジルの腕の間に囲い込まれたリゼルは逃げられなかった。逆にぐっと抱き寄せられて、とん、とジルの胸に飛び込む形になったリゼルは、弾かれるように上げた視線の先は、楽し気に笑うジルの男性的に整った顔。
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