ありえへんマジで‼️最初はユウジに引き摺られて来た合宿で、成り行きで崖を登り合流したのだけれど、新しく気の合う友達も出来たし、強くなれている自覚の芽生えるテニスはまあまあ面白い。みんなと、あの人と、四六時中一緒にいられるのが嬉しくて。辛い練習、面倒くさい人間関係に、来て良かったとは思い切れないけれど、それも悪くない、と楽しんでいる自分がいた。
「何かいい事でもあったのか」と風呂上りの日吉に聞かれて顔を上げた。ギュッと眉間に力が入る。水を差されたような気がするのは、それまでいい気分でいたからで、奥歯を噛み合わせるのはそれまで表情筋が緩んでいたからだ。
スマホの画面を消し、二段ベッドの柱に肘を突いて覗き込む日吉を睨み、すぐに目を伏せ謝った。彼は何も悪いことはしていない。
4191