それが罪だというのなら今、僕は恋をしている。
僕の中の僕に。
それが罪だというのなら
自分を愛するってどんなことなのだろう。
***
翔ちゃんが教えてくれた。
僕にはもう一人の僕がいる。
名前は砂月。
きれいな名前だ。
でも、思い出したくない言葉だった。
僕と僕の記憶は
ひとつに繋がって。
僕は、気付かずに失っていた時間を
僕は、閉じ込めておかなければならなかった感情を
取り戻した。
***
僕が眠るときには眼鏡を外す。
外した後は本当に眠ってしまうことも
起きていて僕のその後の行動を見ていることもできる。
これまでに意識したことの無い感情。
叩きつける拳や蹴り上げる足の甲に伝わる破壊の感覚。
どれも自分のものなのに、
どこか自分のものでないような不思議な感覚。
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