商店街の福引から始まる恋ってどうよ?『・・・電話、出ないし、』
コール音だけが車内に響き渡る。まぁ出ないから今ここに居ないんだけどとため息を吐きながら電話を切った。ハンドルにもたれ掛かりながら腕時計を確認した。
『微妙な時間と言うか中途半端な遅刻するんだよね〜。』
○○は補助監督の伊地知を尊敬している。高専時代は伊地知の二つ下の学年で優しく真面目な伊地知を慕い学校生活を送って来た。尊敬する呪術師は七海で同じく高専時代の三つ上の先輩だ。補助監督を目指していた○○にとって伊地知の存在は目標とすべき存在だったのだ。高専を卒業し伊地知と同じ補助監督として働き出した。もちろん憧れや尊敬の念は変わらない。社会に出た彼はやはりその才を発揮しており自分以外の補助監督以外からも尊敬の眼差しを向けられていた。が、
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