七から遺書が届く話ナナミン夢 遺書
私が七海さんのことを苗字ではなく、下の名前で呼べるような間柄になった頃、それは届けられた。
大きめの封筒で宛名は私。差出人は七海さんだった。
メールや電話では都合の悪いものなのだろうか。
私は訝しみながら封を開いた。
中からは数枚の書類が入っていて、1枚目には手紙が添えられている。
『これをあなたが読む頃、私はこの世にはいないでしょう』
見慣れた几帳面な文字で書かれた言葉に私の体温はスッと下がった。
頭の中が漂白され内容を理解することを拒んだ。
それでも目だけは先の文字を追っていく。何かを探すように。願うように。
そこには側にいられなくなったことを詫びる言葉と、自身の有する資産を私に譲り渡すためにいくつかの書類を同封したと書かれていた。
2141