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    nameko135

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    ご飯を食べる納占。毎日更新8日目。

    #納占
    nana

    ごはんを食べよう⑧ イソップは素直にそう答えた。
     今まで──荘園に来るまで──イライに出会うまで、イソップは食事に関して何かを思うことはなかった。
     食事は体を動かすために必要な作業で、面倒なことだったからだ。
     それが、イライとこうして何かを食べるようになってから、特別なもののように思えるようにかった。
     イソップはソフトクリームをスプーンで掬った。一口口に含むとすうっと溶けていく甘いミルクの味が舌に心地よい。
     目の前には上機嫌にソフトクリームを舐めているイライがいて、ああ、いいなと思った。
    「イライ」
    「何、イソップくん」
    「僕、あなたが好きです」
     イソップの落とした爆弾に、イライは目を見張り、そうしておいてからゆっくりと瞬いた。
     ぱち、ぱち、と繰り返される瞬きに、イソップの手がじっとりと湿る。
    「私も、君が好きだよ」
    「……イライ、わかっているでしょう」
     誤魔化された、と思った。
     責めるような語調になったのは、想いを受け取ってもらえなかったからではない。
    「私、は」
     手元のソフトクリームに視線を落とすイライは目を閉じて、ふうっと息を吐いた。
     溶けてきたソフトクリームごとコーンを口に放り込んで噛み砕いたイライは、小さく首を横に振った。
    「……本当に、君を好きだよ」
    「……そう」
     イソップはグッと手を握った。荒れ狂う感情の波が落ち着くのを待って、イライへ手を差し出す。
     すっかり溶けてしまったソフトクリームは、ただ甘いだけの液体だ。
     この恋も、甘いだけならよかったのに。
     イライはイソップの手とイソップを交互に見て、おずおずとその手を握った。
    「夜ご飯、何にしますか」
    「……シチューがいいな、ほら、この間ルーを買ったでしょ。白いやつ」
    「クリームシチューですね」
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    DOODLEある時から女体化の変身魔法を続けているファウストについて、ヒースクリフ視点で語ってもらいました。
    妊娠・出産の話です。

    ※ある年の大いなる厄災の襲来で犠牲者が出ている旨の表記有り。誰が死んだとかは明記しておりませんが、死ネタを含んでいます。苦手な方はお気を付け下さい。
    ※フィガロのフィの字も出ません。
    ヒースクリフによる独白 暫く前からファウスト先生が女体をとっている。
     普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
     俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
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