ごはんを食べよう14「用意してくれたんですね、ありがとう、イライ」
「へへ、だってイソップくんの作ってくれるマグカップケーキ、好きなんだもの」
楽しみで、つい。そうはにかむイライを眩しく感じる。
チン、と軽い音を立てた電子レンジの中から二つ目のマグカップを取り出してテーブルに着く。
マグカップのふちから二センチほど盛り上がった生地は湯気が立っていて、いかにも熱々だ。
「いただきます!」
「いただきます」
手を合わせて、二人でそう口にする。
食べ物や作ってくれる人への感謝を言葉にする、この風習にももう慣れた。
フォークで刺したケーキは少しもっちりとしていて、切り分けると気泡のたくさん入った断面が見える。
うまくできたようでほっとした。
イライはココア味のマグカップケーキを作る間に適温になったノーマルなマグカップケーキを一口頬張ってにこにこと笑っている。
「美味しい、さすがイソップくんだね」
「たいしたものじゃないですよ」
「ううん、すごいよ」
イライの臆面もない褒め言葉に耳が熱くなる。
誤魔化すように、イソップも切り分けた一口分のココアマグカップケーキを口に放り込んだ。