もったいない「燐音はんって、ほんま黙ってたら顔はええのに勿体ないな」
「それ褒めてる?」
同室のジュンはんがしばらく不在という事で、燐音はんが寮の部屋にくつろぎに来ていた。今日は2人揃って丸1日オフの日。コーヒーをいれる為に黙って作業をする恋人の横顔を見ていると、考えていた事が思わずこぼれていた。
「めちゃくちゃ褒めとるよ」
「ていうか喋ってもかっこいいっしょ?」
「もっかい言うたろか?黙ってたら、黙ってたら顔はええで」
「ギャハハ!そんな強調すんなよ!」
先程までは優しく微笑みながらこう……綺麗な顔をしていたというのに、今はどうだ。口を開けば途端に表情も下品になる。燐音はんらしいといえば、確かにそうなのだが。
「つーか突然どうしたんだよ」
「いや、気ぃ抜いたら口から出とったんよ」
「それって日頃から俺っちの事考えてくれてるって事?」
「……………あ、」
しまった、と思ったが時すでに遅し。
真っ赤になっているであろうわしの顔を見て、楽しそうににやにやする目の前の恋人。
どうにか仕返しはできないだろうか。
「へぇ〜俺っち愛されてんね♪」
「………で」
「へ?」
「せやで、愛しとるよ燐音はん」
「っ、」
そう言ってやれば先程まで余裕ぶってにやついていた顔が勢いよく赤くなる。
わしかてやられっぱなしは性に合わんのじゃ。
「コッコッコ♪ぬしはんも可愛ええとこあるやん」
「それはずるいっしょ……」
たまにはこういう駆け引きも悪くない。
-End.