■ルーク・ウィリアムズ救出後
アーロンは父の生存を喜び嬉し泣きをするルークの姿を少し離れたところから見守っていた。
「………………」
「おいしいところをすっかりファントムに持っていかれてしまいましたね」
「……なんの用だ、クソ詐欺師」
話し相手のおっさんがいなくて暇しているのか詐欺師の野郎がわざわざ側まで寄ってきやがった。
「フフッ……いえ、なに……互いの労をねぎらいにきただけですよ」
「テメエまでクソさみいこと抜かすな。テメエとオレはそんな間柄じゃねえだろ。よそ行けや」
「ご心配なくともモクマさんやスイ嬢と合流するまでの前座ですので」
「〜 そうかよ。おっさーん、はやくこい」
アーロンはモクマたちがいるであろう市街地に向かってグチをこぼす。
「………………怪盗殿。私は今回の一件であなたへの評価を見直すことにしました」
「」
茶化しが一切含まれていない真剣なまでの口振りに全身に蕁麻疹ができた。
「気色わりいこと抜かすなや。拷問でやべえクスリでも盛られたか」
「ご心配なくゥ。そのような失態はおかしませんのでェ」
「心配なんぞしてねえわ! 」
詐欺師の野郎を適当に泳がせておくと「私のこの綺麗な瞳を見てもそのような態度をとるのですか」と言わんばかりの顔をしやがるのが腹立つ上に疲れる。
「クソが。さっさとどっか行けや」
「フフッ……そんなに嫌ならあなたがどこかに行けばよろしいのでは」
「なんでテメエに指図されなきゃなんねえんだよ」
指をパキパキと鳴らすと
「大方、ボスを見守るにはここが一番良いのでしょうね」
と知ったような口を聞かれる。
「……うるせえ」
「手柄をボスに報告しに行かなくてもよろしいのですか」
「、手柄ってなんだよ」
詐欺師は勿体ぶるように
「ボスの命と引き換えならタダ同然と引き受けた拷問をお忘れですか」
と口にする。
「あんなん手柄でもなんでもねえわ。必要だったからそうしただけだ」
「お優しいことで……」
「ハッ、そういうテメエだってだいぶ体を張ったじゃねえか。ちったぁ見直したぜ」
「怪盗殿ぉ……気色悪いことを……おっしゃらないでください」
「ー そうかよ。二度とテメエに礼なんぞいうかよ!!! 」
◇◇◇
「アーロンとチェズレイ、なんだか盛り上がっているなぁ。なあ父さん、何を話していると思う」
「さあな、大方お前のことだろう」