EGO-system
あの日。
あのとき。
あの瞬間。
ぼくの世界は、その色を変えた。
「僕たちは共犯だ。いっしょに、世界を欺こう」
──────。
遠くで、鳥の鳴く声が聞こえる。
これは夢か現かと、ぼんやりとやわらかい混乱にもまれながら、浅い眠りが朝霧が晴れるようにゆるやかに薄れていく。
ゆっくりと、僕は目を開けた。窓の外はまだ薄暗い。時計を確認すると、目覚ましに設定したアラームまであと5分の時刻を示していた。そのまま、もう少しで鳴るはずのアラームを解除する。ぐ、とベッドの中で身体を伸ばして、深呼吸。活動のスイッチを入れるのはこれで充分だ。
さあ、いつも通り、朝のルーチンをこなそう。枕元に用意してある薬をいの一番に手に取って、口に入れる。
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