「オレ、おおきくなったらゆうしゃになる!」
青空の下、意気揚々と宣言する少年が一人。
「ゆうしゃなんてどうやってなるんだよ」
「わかんねえ! でも、オレはみんなのためにたたかうゆうしゃになりたい!」
目を輝かせている少年の周りにいる、彼の友人であろう数名の少年たちは、彼の発言に取り合うつもりはなさそうで。
その様を、黒い外套を纏った一人の『少年』が眺めていた。
「ねえ、君たち。勇者のこと、知りたい?」
それは、絵本にも載っていない、一人の勇者の物語。
***
見覚えのない天井が、視界を支配する。
「……ここは、どこ?」
エストは、急に心細くなった。
***
「きみは、だれ?」
「ぼくのなまえはツヴァイっていうんだ、かっこいいだろ?」
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