確信犯 初めて爆豪がうたた寝しているところを見たのは補講帰りのバスの中、一緒に寝ていた俺の肩にコトンと落ちてきた甘い匂いのフワフワが爆豪の頭だと認識した瞬間、俺の眠気は一気に吹き飛んだ。だってあの警戒心の強い爆豪が俺に引っ付いてスウスウとうたた寝しているのだ、そんなレアなことが起きたら誰だって過覚醒しちまうだろ、
惜しむらくは肩に頭を乗せられたせいで爆豪の顔が見えないこと。どんな顔をしているのか、寝顔は天使だって誰かが言っていた、
(ああ、体育祭の時みんなは見たんだっけな、ミッドナイトの個性で眠らされた爆豪の寝顔を、会場に設置された大画面に映されたそれを)
俺だけが見損なった、あの時俺は爆豪の個性攻撃をまともにくらって気を失ってしまったのだ、爆豪のいう【舐めプ】をしたツケがこんなところでまた返ってくるなんて、過去の自分に苦言を申し立てしたい位だ。そうだ、せめて写真を取ろう、俺は注意深くポケットからスマートフォンを取り出して爆豪の寝顔に角度を合わせてカシャリとシャッターを切った。
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