【レイチュリ】明日の僕もどうか愛していて 3「先生」
「何だ」
「ドクター?」
「何だ」
「レイシオ」
「何だ」
「レイシオ先生?」
「だから何なんだ」
「君のことは何て呼んだらいいんだい?」
「好きに呼べばいい」
「じゃあ……ベリタス?」
「……それはやめてくれないか」
「今好きに呼んでいいって言ったのに?」
「君は自分が死んだときのことを覚えていられないと言っていたな」
「うん、そう。普通はみんな死んだときの記憶を持ってるんだ。そうでないとまた同じ末路を辿ることになるし、それはつまりおとなになれないってことだからね。まぁそれもそう言われてるってだけで本当のところはわからないんだけどさ」
「ならなぜ君は自害の回数を把握しているんだ?」
「ああ、それは銃だよ」
「銃?」
「そう、僕はいつもあの銃を肌身離さず身に付けているんだ。護身用って言ってるけどお守りみたいなもの。いつでも死ねるようにね。自害するときは必ずあれを使う」
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