7歳年下のお隣さんちの飛雄。
飛雄にはお姉ちゃんがいて9歳離れてて、おれの幼馴染は飛雄のお姉ちゃん。
だから飛雄はおれの弟みたいなもん。
小学生の頃はよく飛雄の相手をしてたけど、中学になったら部活とかあってその機会は減って、高校に入るともう電車通学になるからほとんど飛雄と遊んであげる機会はなくなった。
それに高校生になるとおれもほら、色々忙しくて。
やっぱレンアイとかが楽しくなるお年頃じゃん。
初体験は部活の先輩と部室で。
それ以来えっちが楽しくて、ラブホに行ってみたりナンパスポットに行ってみたりそういうお店に行ってみたり、まあちょっと性にただれた感じになってたわけ。
だからなんていうか、その時のおれってちょっと性欲バカだったんだよな〜。
ネットで知り合った人と駅で待ち合わせて即えっちとか、その後で彼氏んちに泊まりに行ったりとか、もうめちゃくちゃだったわけ。
だから、その、飛雄のさ、純粋な質問にさ、まともな返しができなかったわけ。
本来子供に教えるべき教え方をできなかったわけ。
その日は飛雄の家でバーベキューするからって久々にお邪魔して、その時飛雄は小6でおれは18、大学入りたてでまあ遊び散らかしてた頃だよ。
飛雄の部屋に呼ばれてさ、なんか言いづらそうにもじもじしてるからさ、どうした?って聞いたらさ…言うわけ、
「せ、せいつーって、なんだ?」
ってさ。
あーそっかそんなお年頃かーって。
そういやおれも飛雄ぐらいの頃に友達に「お前ムセイしてる?」って聞かれて何それ状態だったなーって。
周りはみんなしてるっぽいし、なんか大きい声で話しちゃいけないことみたいだし、わかんなくて不安だったなーって。
飛雄も、お姉ちゃんしかいないしお父さんは海外に単身赴任だし、身近な年上の男がおれしかいなかったわけ。
で、今ならほんと、もっとまともな性教育?できるんだけど、そん時のおれってほんと狂ってたから。
もーね、ちんこのことしか考えてなかった、あの頃はね。
だからさ、
「教えてあげよっか」
とか、悪いおにいさんムーブかましちゃったんだよなあ…
いやっでもちゃんと手コキしかしてないから!ちゃんとの意味がわかんないけど!それ以上のことはしてないから!
飛雄の無垢なつやつやのちんこを握ってシコシコしてる時にこれはいいちんこに育ちそうとか思ったのは認めるけど!
でもそれだけ!あくまでおにいさん目線!
「なんかでる…っ」
って焦る飛雄に調子こいて
「なんだろうな?出してみよっか」
とか言っちゃってほんと今振り返るとなんだろうなじゃないよって話なんだけど。
「あっ…ひ、ひな…っ」
っておれを呼びながらぎゅっとしがみついて初めての射精をした飛雄のことも可愛いな〜って思ってただけだったんだよな。
だからさ、「これで飛雄も大人の仲間入りだな」って言った時も深い意味とかなくって。
その時飛雄がどんな気持ちでいたのかとか、何も考えてなくって。
それ以来飛雄がたまに顔を合わせると恥ずかしそうに目を逸らすのとかも、まあ射精がどういうもんか分かってきたら近所のおにいさんに手伝ってもらったとかなんとなく恥ずかしくなるよな〜ぐらいであんま気にしてなかった。
心の中でぼんやりと「いつか飛雄にもそういうことするお相手ができるんだよなあ」って思って少し寂しい気持ちになる程度だったわけ。
だから
だからさ、
「ちょ、ちょっと待って飛雄」
「うるせえ騒ぐな」
「ちょっと待てってばあ〜!」
今現在、高1の飛雄にベッドで押し倒されてるこの状況、マジで超超びっくり大混乱なんですけど〜〜!?!?
おれは就職と同時に家を出て一人暮らししてるんだけど、今日は飛雄んちでバーベキューするからっておれも呼ばれたわけ。
飛雄んちは飛雄が小学校卒業したタイミングで海外赴任中のお父さんのところで一緒に住むことになって、それ以来飛雄んちは空家になってた。
でもこの春からお父さんが日本の会社に戻ることになって、帰ってきたってわけ。
で、今日はその帰国記念で久々にホームパーティーするってことで。
久々に会った飛雄はめちゃくちゃデカくなっててびびった。え、いや、デカくなってたって身長のことだけど、身長。
元々背は高くてクラスでも後ろの方だって言ってたけどさ、ほんの3年でめちゃくちゃ成長するじゃん。
180あるんだって。いいなー。
なんか顔つきも大人っぽくなっててさ、口数はまあ元々無口な方だったけど、声とかもめっちゃ大人になってて。
一言で言うと、モテそう。
イケメンじゃん。身体も締まっててなんか逆三角形っぽいし。
たった3年でこんなに大人になっちゃうんだなーって感心してたら、飛雄が部屋で話したいって言うから皆でバーベキューしてる庭からふたりで飛雄の部屋に移動して。
まだ引っ越した荷物が残ってる部屋の中で、子供の頃の家具は入れ替えたのかベッドと勉強机が昔とは変わってた。
「デカくなっちゃったから前のベッドじゃキツいよなー」
昔みたいにベッドの端に座って、いいなーおれ伸びたけど元が小さかったからなーって言ってたら、飛雄に低い声で「日向」って呼ばれて。
目の前にいる飛雄を見上げた瞬間、押し倒された。
……えっ?
「やろうぜ」
やろうぜ
やろうぜ
え?
……え?
「ちょちょちょちょちょーっっ!?!?」
びっくりして思いっきり飛雄の顎を手で押し返すけど飛雄の手は当たり前のようにおれの着てるパーカーの裾をインナーごと捲り上げてきて。
「ちょ、ちょっと待って飛雄」
「うるせえ騒ぐな」
「ちょっと待てってばあ〜!」
急に意味わかんねーじゃん!って飛雄の顎を押す手と反対の手で服を捲る手を阻止しようとすると、飛雄はその体勢のままおれを見下ろして言う。
「今更カマトトぶってんじゃねえ」
そんな言葉どこで覚えてきたんですかっこらっ
「そ、そりゃ昔あんなことしたけどあん時はおれも若くて物事の分別がついてなかったっていうか!」
何も分かってない飛雄を手コキで初イキさせたことは悪かったと思ってる!
って謝ろうと思ったけど、飛雄は舌打ちして「ちげえ」と言った。
そしておれの手をがっちりとベッドの上に押さえつけて見下ろしながら言う。
「公園で見た」
「え?」
「バレー教室の練習遅くなった日。暗くなってるし近道だから公園の方から帰ろうと思った」
公園?近道、って、ああ、あの角曲がったとこの公園のこと?
確かにおれたちは学校の帰り道とかで公園を通って家までショートカットすることがよくある。
「そしたら知らねー男と日向が公園の茂みに入ってくの見えて」
「…えっ」
「追っかけてったら、見た」
なにを、って、聞くまでもないっていうか。
いやもうほんとに、おかしかったんだって、あの頃。
ほんと毎日えっちのことしか考えてなかったっていうか。
だからほら、あの、うん、
「あーゆーのなんて言うんだ、アオ…アオカン?」
「わーっわーっ言わなくていいって!」
言われなくても思い出したから!
あーほんと最悪すぎる、家の近くまで送ってもらったりしてさ、なんかもう一回やりたくなったりしてさ、どうせ大した人通りもないし見られないだろって安易に何回かやっちゃったんだよな、あの公園の茂みに隠れて。
何をってそりゃまあその、アオ…カン…を…ですよ。
よりにもよってそれを飛雄に見られてたなんて…
…あれっ、てことはもしかして
「え、じゃあもしかしてある時期から会っても目逸らすようになったのって…」
「それ見たからに決まってんだろ」
あー…ですよね…そりゃそうだ…
多分飛雄にはおれがすごく汚いものに見えてたんだろう。
そんなおれに自分が汚されたことにも気づいたのかもしれない。
そりゃ顔も見たくなくなるよな。
じゃあこれは何?もしかして復讐的な?無知だった子供の身体を汚されたことへの仕返し?慕っていたのに醜い大人に汚されたことが許せない?
だとしたらおれに拒否る権利なんてないよ。
飛雄がそうしたいなら飛雄の気が済むまで受け止めるしかない。
「なんであんな男が日向にあんあん言わせてんだってムカついて許せなかった」
だよな、やっぱ許せないよな、おれがあんあん言わされて…
……
……ん?
「俺は手でちんこシコられただけなのになんで他の男にはちんこ突っ込ませてんだと思ったらすげームカつくし俺がまだガキだからあれができないのかって思ったらイライラして」
え?なんか言ってることおかしくね?飛雄?
「早く大きくなって絶対俺があんあん言わせてやると思っていっぱい牛乳飲んで筋トレしまくった」
いやいや、何言ってんのお前、ちょっとまって。
「それに」
うわ、やっぱすげーイケメンに育ったよな…
ってそうじゃなくて!顔、顔近いって!
「初めてはお前とするって決めてた」
がぶって。
がぶって効果音が相応しい、噛み付くみたいなキス。
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