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    綾崎寝台

    @kopa382

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    綾崎寝台

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    Sky小説。
    うちの子ヂュリ助と、ベルさん @lionbell_gm とこのトルク君とミーニャちゃんの出会い編。
    セリフのみ出演でさーもんさん @salmon_0_2 とこのナギちゃんも居るよ!

    創作だけど実録ネタやらなんやら込み込み。

    軽く広い気持ちで読んで頂けたらなぁと。

    トルク君はギャグもかっこいいのも似合うどえm…素敵な子だと思ってます。

    赤い鳥と煩い小鳥の遭遇昼間も薄暗く、かつての文明の残骸と巨大な生物の骨、それらが砂や闇の泥水に半分埋もれて存在する場所。
    それが捨てられた地の光景である。

    その捨てられた地の一角、4匹も暗黒竜が跋扈するこの場所は、巨大な生物の骨が数多く有る事から『墓所』と呼ばれている。ここは星の子達にとって非常に危険な場所とされ、足早に上空を飛び去るか骨の影に隠れて暗黒竜をやり過ごすのが推奨されている。

    暗黒竜の生態はわからない事が多い。わかっているのは光の生物や星の子を見つけない限り延々と同じ周回ルートを見回っている事と、それらを見つけると一直線に突進して光を散らす習性がある事だけであった。

    そんな暗黒竜を普通の星の子なら接触しないよう逃げて然るべきであるが、一部の星の子はその暗黒竜を避けたり、当たっても羽を散らすことのない飛び方をしてスリルを味わうことを楽しみとしていた。
    通称『エビ避け』。暗黒竜の甲殻や脚がエビのそれに似ていることと、それらを避ける事からそう呼ばれるクレイジーな遊びである。

    そして、墓所の高台から突き出るような巨大骨の肋骨の先に立ち、腕を組んで暗黒竜を見下ろす赤い鳥の面を付けた黒ケープの星の子もそれを楽しむ一人であった。

    「フン…すぐ見失いやがって、もっと根性のある追跡して来いよ。楽しめねぇじゃねぇか、このざーこ!」
    「そうなったら困るのはトル兄なのです。儚く散りまくるのです。
    そうなったら、みぃは逃げるのです。」
    「おい、そこは嘘でも助けるとか言えよ」
    「心配しなくても骨は捨ておくです」
    「拾えよ!!!」

    フードを被った小柄な星の子が下からぴょこぴょこと高台に登ってきて鳥面の星の子に辛辣な言葉をかける。
    ンワァー!と激しく怒る鳥面の星の子を面白がっているようにも見える。

    鳥面の星の子はトルク、フードの方はミーニャという名だ。
    この二人が言い合うところを一見すると喧嘩のようだが、この二人の仲はけっして悪くない。むしろ、信頼関係の堅固な仲だ。この捨てられた土地という荒れた治安の場所で協力して強く生きている星の子達なのである。

    「まあ、今日一回しか散ってないのは素直に褒めてやるです」
    「一回しかとか言うな!全く散ってない日もあるわ!!!
    ったく…降りて茶にでもしようぜ」

    トルクとミーニャは暗黒竜の視界を避けつつ移動し、少しばかり離れた場所にある巨大な生物の頭蓋骨と岩石で出来た横穴に入っていった。
    ここは暗黒竜の周回ルートと被っている位置であるが、暗黒竜の視界からは外れており、実は安全な休憩ポイントである。寧ろ暗黒竜が側を通り抜けるスリルが味わえて面白いと、トルクが気に入っている場所だ。

    その横穴でティーセット付きのテーブルを魔法で取り出して、二人で腰掛ける。
    魔法で織り成された紅茶は暖かく、香りは柔らかい。仄かに光を放っているようにも感じるそれをゆっくり飲み干して、二人はまったりと休んだ。
    時折、暗黒竜の飛行の際の金属音のような音が横穴に響くが、捨て地を遊び場にする二人からすればなんてことはない。遠くに響く暗黒竜の突進の咆哮も日常だ。

    そして差し込む赤い点滅する光も日常―――………

    「………は?」
    「………みぃ?」

    トルクとミーニャが横穴の入口を見ると、入口いっぱいに暗黒竜が頭をめり込ませるようにして覗き込んでいた。
    至近距離で赤い光が激しく点滅していて酷く眩しい。

    「………え?は?なんで!?いやいやいやッ!?おかしいだろーッ!?」
    「みぃぃ!トル兄!助けやがれなのですぅ!!!」
    「逃げ場がねぇのにどうしろと!!!」

    ―――ジャギャアアアアアッ!!!!!

    「だああああッー!!!」
    「みぎゃううぅー!!!」
    「ヂュリリリーッ!!!」

    暗黒竜の咆哮と、二人の悲鳴と…何やら奇妙な音声が重なった。

    暗黒竜はその横穴を蹂躙して中にいる全ての星の子の光を散らすと、いつも通りに眼光を赤から蒼に戻し、存外靭やかに曲がる体をくねらせながら横穴から抜け出て、本来の周回ルートへ帰っていった。

    あとに残ったのは、光を失いシルエットのような影坊主姿になってしまった星の子達だった。
    こうなるとトルクもミーニャも、一見するともはや誰なのかわからない姿であった。

    「……い…てて……ミーニャ、…生きてるか?」
    「………ひどい目に遭ったのです……」
    「………あ!羽!回収!」

    いきなりの強襲による混乱と避けようのない攻撃によって、二人はほうぼうの体ではあったが、散らされた光の羽を集める為に立ち上がった。
    幸い横穴は狭く、羽も大して散らばっていない為に回収は容易であった。が、トルクは羽を拾い上げながら考えていた。

    本来、ルートに沿って飛ぶだけの暗黒竜が何故ここを覗き込んでいたのか。
    確かに自分は暗黒竜に好かれやすい体質ではあるが、それでもおかしい。暗黒竜が何かを探していたならともかく……
    ―――暗黒竜が周りを見渡すような行動をするのは………発見した『光』を一時的に見失った時だ。

    「み?トル兄、羽が外に飛んでくのです」
    「あん?」

    ミーニャの声に思考から意識を戻して振り返ると、ちょうどミーニャの手元にあった羽が横穴の外へスーっと滑ってゆくところだった。
    この羽は、二人の光の羽ではなかったようだ。―――つまり、一緒に散った第三者のものだ。

    「…そういえば、なんか悲鳴一つ多かったよな…」
    「です」
    「………誰だが知らねぇが、礼の一つはしなくちゃあなぁ!?」

    トルクはバネに弾かれたような勢いで横穴から飛びだした。
    要は、暗黒竜の注意を引いたままこの横穴に飛び込んできて、自分達を巻き込んだ迷惑な輩がいたのだ。自分達がここに居ると知って暗黒竜を引き寄せた確信犯である可能性もある。
    それならば文句の一つでも言わなければ気が済まない。可能ならぶん殴ろう。

    そう思っていたのたが、


    ぷぎゅ。

    「……………ぷぎゅ?」

    妙な感触の足元を見下ろすと、トルクは今まさにぶん殴ろうと思っていた探し人を踏んづけていた。
    トルクは一瞬の硬直の後に飛び退いた。

    「う、おぉぉい!?」
    「…思ったより近くで伸びてたです?」


    当然といえば当然なのだが、トルクらと同様にその原因と思われる星の子も光を失っていた。その上、暗黒竜からの攻撃をモロに受けてしまったらしく、完全に気を失っていた。

    捨て地出身で荒っぽいとはいえ、トルクは意識のない相手に暴力を振るうような卑怯な性格ではない。
    ひとまず、ミーニャと一緒にその星の子を引きずりつつ、灯籠の灯った安全な大骨の下へ移動することにした。

    灯籠の灯りによって元の姿を取り戻したトルクは、そっとキャンドルを気絶した星の子に近付ける。キャンドルの灯りによってじわりと星の子の姿が鮮明になっていくのを眺めていた。

    そこに倒れていたのは―――背負ったアイテムは無く、服もシンプル。6つしかエナジーのない茶色のケープを纏い、簡素な面をつけた星の子だった。強いて言うなら、逆立った炎のような髪型な所が特徴といえるだろう。

    「………雀かよ」
    「エビから逃げてたらみぃ達の方に来ちゃったですかね…」

    雀。この王国に生まれて間もない星の子の総称だ。生まれた瞬間から持ち合わせている茶色のケープを身に着けている事が特徴である。
    当然、生まれたばかりなので経験がなく飛ぶのも下手であるし、暗黒竜に対処する知識もない。というか、星の子の使命をおぼろげに理解しているだけで、自我や悪意そのものを持ち合わせていない事もある。
    そんな雀にトルクがキレたところで、罪悪感を覚えるだけなのは目に見えている。

    「…あー…どつく気失せたー…」
    「…、……う…」
    「起きたです?」
    「…ヂュリ……」
    「「なんて???」」

    頭を押さえながら雀の星の子が起きた。のはいいが、変な音が聞こえた。そういえば暗黒竜の突進の際にもこの音が聞こえたような気がする。

    え、何この星の子、新しい種類のボイス持ってんの?初見ならぬ初聞です。自分達はそのボイス使わないと思うけど。
    そんな考えをぐるぐる巡らせていると、星の子がトルクの方を見て固まった。

    そして耳が痛くなるよう絶叫を上げた。


    「……ヂュ…ヂュリャア嗚呼アアアアアアッ!?」
    「っだぁあああー!?やかましいッ!」

    反射的にトルクは前言撤回して星の子の頭を叩いて黙らせた。ちょうど鳴り響く目覚まし時計を止めるような動きで雀の頭を強打し、ばしーんといい音が薄暗い砂地に響き渡った。
    叩かれた星の子は、衝撃による一瞬の沈黙の後に、再び二度寝防止アラームの如く叫び出した。

    「ヂュリリリーーーッ!!!
    薄幸そうな鳥のおばけだぁあああッ!!!」
    「オイコラ誰が幸薄いだーッ!!!」
    「えゑ絵!?髪薄いおばけェっ!?」
    「KAMIじゃねぇよ、SACHI!!!これはモヒカンだ!!!
    それから俺はハゲる予定は無ぇから!!!」
    「クソワロなのです」
    「笑ってんじゃねェー!!!」
    「ヂュリリリッ!!!怖いー!!!」
    「お前は黙れーッ!!!耳が死ぬ!」

    数分後、トルクは阿鼻叫喚の空間をどうにか治める事に成功した。
    どうにもこの雀は動物の仮面というものを見慣れていないらしく、意識がはっきりしないままトルクの鳥面を見てしまい、パニックに陥ってしまっていたようだった。平静をとりもどしてからは喚き立てる事はせず、申し訳無さそうに項垂れている。

    「ヂュ…、ごめんなさい…。暗黒竜連れてきちゃって…誰かいるって見えたから引き返そうとしたけど…間に合わなかったの…」
    「…いいって、もう過ぎた事だしよ」
    「みぃも許すです。
    ゆぅは心優しいみぃを生涯崇め奉るです」
    「わかりました。みぃさん」
    「オイ、崇めるな!土下座するな!アホか!?」
    「トル兄。この雀はみぃに素直に従うし、トル兄の不憫体質も見抜いたです。将来有望なのです!」
    「俺は不憫じゃねェー!!!」

    ぎゃいぎゃいと口喧嘩を始めた二人だが、雀がふいに顔を上げてトルクの方をじっと見つめ始めた。

    「…何だよ、まだこの鳥面が気になるのか?」
    「……トル兄…?もしかしてだけど、あなたトルクって名前だったりするの?」
    「?おう、俺はトルクだけど…」
    「ヂュリ!そうなんだ!わーい!会えたー!」

    ぴょんぴょんとトルクの周りを跳ね回って喜ぶ雀にトルクは動揺した。

    「…え?俺って有名人?…ふ、ふふん!俺様は捨て地王になる男だからな!」
    「すてちおう…?は知らないけど、トルクさんのことはナギさんから聞いたの」
    「あん?お前、ナギと知り合いなのか」
    「うん!少し前に会ってお友達になったの!
    それで、『捨てられた地にはトルクっていう面白…じゃなくて、踏み甲斐のあ…でもなくて、とっても飛ぶのが上手くてかっこ(わる)いい子が居るんですよ』って褒めてた!」
    「それ褒めてねぇからァ!何教えてんだナギィイイイ!!!」

    トルクの脳裏に、にこにこと笑う儚げに見せかけて中々癖者な星の子の姿が浮かんだ。次会ったら問い詰めようと、ギリギリと仮面の下で歯噛みしていると、不安そうに雀の子がトルクを見上げてきた。

    「…あの、なんか、自分間違えちゃった…?」
    「………あのな、俺はこの捨てられた地で一番の格好いい男(になる予定)で最強のエビ避け師のトルク様だからな。覚えとけよ」
    「エビ避け…あの暗黒竜避けれるの!?見てみたい!」
    「お、いいぞ。ついて来な」

    トルクとミーニャ、そして雀の3人は大きな岩石でできた高台に登った。
    目前を暗黒竜が飛んでいくのを見て、先程跳ね飛ばされたばかりの雀は少し逃げ腰であるようだったが、トルクにとっては良いおもちゃだった。

    「見とけよ、坊主!
    俺様のかっちょいいところをな!」

    そう言ったかと思うと、トルクは近くを飛ぶ暗黒竜の目前に踊り出した。

    ―――ギイィィン!!!

    点滅する赤い光がスポットライトのように宙を舞う星の子を照らし上げる。その様はさながら一流のスターのようだ。
    ただし、この光は決して舞台の主役に栄光をもたらすものではない。漆黒の甲殻に覆われた暗黒竜が獲物を見つけたと哀れな対象に知らしめているのだ。

    暗黒竜は鎌首をもたげた蛇のような体勢をとり、カウントダウンのように眼光を徐々に短く点滅させて獲物に照準を合わせる。
    金属の擦れ合うような暗黒竜の唸り声が、巨大な骨の転がる大地に響いて酷く不気味だ。

    だが、それも束の間の話。
    赤い光の点滅が止んだ。

    と同時に、ほとんどの星の子なら恐怖と絶望を覚える咆哮が空気を裂いて響き渡る。

    ―――ジャギャアアアッ!!!

    暗黒竜の巨体が目にも留まらぬ速度で真っ直ぐに星の子目がけて迫っていく。当たれば当然無事では済まない。
    この巨体の衝撃によって星の子は、折角集めた光の羽を失うのと同時に、その圧倒的な力の差による恐怖を植え付けられるのだ。

    そう、普通ならば。

    「―――ハッ!遊んでやるよ、エビ野郎!」

    トルクは、錐揉みのような回転を交えて滑らかかつ素早く旋回し暗黒竜の狙いから反れる。そのまま暗黒竜が生み出した風に乗って更に上へと上昇し、完全に暗黒竜の突進の動線上から外れた。
    本来、星の子の恐怖の具現であるかのような暗黒竜を、この星の子は華麗に避けてみせたのだ。

    トルクは黒いケープをはためかせて近場の高台へと着地した。
    そして、あての外れたところへ一直線に飛んでいった暗黒竜の方へ、鳥面の目の片方をちらりと向けてその動向を伺う。

    突進を避けられた暗黒竜は狙っていた星の子を見失うと目の色を一旦消灯させ、再び蒼く戻すと何事もなかったかのように自分のテリトリーへと帰っていく。
    他の暗黒竜もミーニャ達の方は向いていない。

    完全に暗黒竜避けを成功させたといえるだろう。

    トルクは見せると言った手前、失敗しやしないかと冷や冷やしていたがかなり上手く飛べてほっとしていた。が、そんなことはおくびに出さずにミーニャらの待つ高台へと戻った。

    「おかえりなのです。今のはなかなか良かったじゃないです?」
    「ふふん!当たり前よ!
    で、坊主。俺のエビ避けっぷりはどうだった?」
    「…ヂュ………かっ……こいい…!」

    仮面の下の目をキラキラさせてぷるぷると体震わせながら、雀がトルクを見上げていた。
    さながらヒーローを目前にした子供のような反応で、気は悪くない。

    「すごいすごい!かっこいい!
    …ねえ…自分も羽を集めて、飛ぶの練習したら…トルクさんみたいに出来るようになるかなぁ…?」
    「出来なくはないだろ?」
    「本当?」
    「諦めるのか?」
    「諦めない!やる!絶対避けれるようになる!トルクさんみたいになる!」

    ヂュリッ!っと鋭く鳴いて意思を表明する雀の目は強い決意を感じられた。
    そこらへんによく居る、一度使命を果たした後に姿を見なくなる雀とは違うものだとトルクは思った。

    そうしていると、雀はゴソゴソと懐を探ってトルクにキャンドルを差し出した。

    「ヂュ…もし良かったら、お友達になってくれませんか?
    すぐは無理だけど、避けるの上手になったところを見て欲しいから」

    そう言っておずおずと見上げる雀を見たトルクは、キャンドルを取り出しながら、雀の逆立つ髪をくしゃくしゃと掻き乱した。

    「ンヂュリッ!?」
    「まだキャンドル少ない雀は先輩に甘えとけ!俺が出すから受け取れ、遠慮すんな!」
    「…トル兄もキャンドル不足なのに…これが男の見栄ってやつです?」
    「うっせ!」
    「わーい!トルクさん、ありがとうございます!」
    「…敬語とさん付けやめろよ。その…なんだ、友達なんだろ?」
    「………トルク、君?でいいの?」
    「おう、そっちのがまだ落ち着く」
    「みぃはミーニャだけど、さん付けで呼ぶがいいです。様でも可です」
    「みぃさん!わかった!」
    「お前はそれでいいのか!?
    …って肝心のお前の名前は?」
    「んー、まだちゃんと決まってない!
    たぶんヂュリ太郎とかそんなんでいくと思うからそれでよろしくねー!」
    「雑ゥ!!!お前、ほんッッッとにそれでいいのか!?!?!?」
    「面白い星の子なのです」

    斯くして、かなり、相当、色々と変わった星の子と友人になったトルクとミーニャだった。



    この雀は後に『ヂュリ助』という鳴き声から安直に付けた名前を正式に名乗り始め、そして早々にエビ避けで遊ぶ事を覚えた。羽を散らしつつ楽しそうに暗黒竜を避ける練習をしたり、トルクの飛行を見て感嘆するヂュリ助の様はトルクにとって悪くない感覚で、エビ避け以外でも度々遊ぶようになっていた。

    こうして、トルクとミーニャとヂュリ助の3人は友好を深めていった。



    が、今日この日のヂュリ助が仮面を外した瞬間まで彼女が女性だとは知らず、トルクは度肝をぬかれた。
    最初に会った頃より背が伸びてトルクより拳ひとつ高く成長し、紫眼の愛らしい顔をしたヂュリ助の素顔は、中々の美人であった。

    「は、はあぁぁぁああああ!?
    お前、女だったの!?!?!?」
    「ヂュリ?言ってなかった?」
    「聞いてねーよ!!!
    え、ていうか普通に可愛いな?良かったら俺と付き合わねぇ?」

    トルクはチャラ男に分類される軽い男だ。普通にナンパもするが、悲しい事に成功率はかなり低いと言わざるを得ない。

    しかし、ヂュリ助ならワンチャンありでは?と思い至った。
    初めの出会いこそ、ヂュリ助を踏むわ、叩くわ、坊主呼びするわで酷い扱いをしてきたが、別にヂュリ助も気にしていないし、今の友人であるトルクとの付き合いも普通に楽しんでいるように思う。
    むしろ、トルク君は格好いいね!とよく言い、トルクの真似をして花火杖を入手してきたのを一番に自身に見せてきたりと決して悪い印象は持っていない筈だ。

    そして何より、ヂュリ助に恋愛的なパートナーは居ない。

    これは周りにパートナー持ちの星の子が多く、いつも疎外感を感じていた立ち位置からの脱却チャンス!とトルクはごくごくいつも通りのテンションに見せかけて、かなり浮かれながらヂュリ助に問いかけた。

    そんなトルクに対して、ヂュリ助は

    「んー、ごめんね!
    自分より背の低い男はやだー!」

    と出会った頃と同じように元気に答えた。



    奇しくも場所は雨林。
    降りしきる小雨の中で絶望と哀愁たっぷりに膝から崩れ落ちるトルクを、ミーニャが爆笑しながら見ていた。

    「…ヂュ?トルク君大丈夫ー?」
    「流石トル兄、クソワロなのです」
    「………………うるせぇ……」





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