ブルーメランコリー「違う」
指先で摘んだそれを、一瞥して一言。
カブラギは期待外れと言わんばかりに机にそれを置いた。
机の上には宝石のように煌めく透き通った青い石がいくつも積み上がって山になっていた。
キラキラとしたそれらは、一般的感覚としては人の心を惹き寄せる輝きを放つ宝物なのだろうが、カブラギはただの無機物の結晶として扱っていた。
「……………ハァ、七十二度目のリテイクですが、この回数に関してはいかがお考えで?」
食傷した態度を隠そうともしないジルが、カブラギの横から声をかける。
苛立ちも相まって足先で机の脚をつつき、今にもこの感情の原因であるカブラギを蹴って責め立てそうである。
「違うものは違う。俺の希望通り製造できていないそちらの落ち度の問題だろう?」
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