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    フルヤヒロキ

    一次創作倉庫
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    フルヤヒロキ

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    小話
    ニルとイヌミのハロウィン2018

    #一次創作
    Original Creation
    ##物語
    #小説
    novel

    乾御山神社で神様を続けて千数百年。神様として畏れられたのは十数年だけだった。その後は神業を持ってしても、素が狸だと知られると軽蔑の目で見られている方が多かった。寧ろ今もそうだ。
    正直大きな事はなかった気がする。俺がいる理由はわかるが、俺が必要だった試しはない。ある意味街角のAEDのような存在でAEDほど活躍もできてない。地域に根付いてる心霊は結構いると聞いて、何年間か試したことはあったがいずれも不器用すぎて断念した。
    ともかく人間だろうが神様だろうが不得手はなんだって不得手なのだ。そう思い悩むことも辞めて、器用さが上がればいいなとおまじない程度にリズムゲームを楽しんでいる。ゲームの進化はすさまじい。車とかもすごいって思ったが、今ではこんなハイポリキャラが同時に歌って踊ってもラグらないんだからすごい。とにかくここでハイスコアを出せれば10連が引けるんだ。何度かフルコンボ出来てるが評価が足りずハイスコアには至っていない。さっきからなんだかドアが引っかかれているようだ。無課金勢にはきついイベントだああああ
    襖の障子部分からズボーと漫画みたいな音をたてて一対の腕が生えた。なんとなく気づいていたが、やはりニル猫だった。
    さび猫の猫又。俺の身長の半分くらいに収まる妖怪。怪異でありまさに猫。猫だが怪異になったせいで人型になっている。松○しげる色と差し支えない茶色とく黒のまだら模様は、ヒト化した肌にも及んでいる。黒いワンピース、というのかそのせいでほとんど全身真っ黒だが、青みがかったオッドアイが美しいさし色になっている。だが髪は伸びっぱなしだしアホ毛のせいで、美人さんというよりは、かわいい野良猫に収まっている。
    「ごめん、無視して悪かったから。穴はもう開けないでくれ」
    和紙じゃなくてプラスチック障子紙なんだが勢いのせいで、綺麗に空いている。
    両腕を引っ込めたのを確認して襖を開けると寒々しい夜の中、鮮やかな橙色のリボンをつけたニル猫が立っていた。
    「お菓子くれ」
     何を言ってるんだこの子は。
    「お菓子くれ。いたずらする。」
    「まじかよ」
    半紙もどきが飛び出といる襖を見るも、ニルは微動だにしなかった。
    「あーハロウィンな、ハロウィン。忘れてたからお菓子なんか用意してなかったぞ」
    うそです。いや半分嘘というべきか。ソシャゲイベントはハロウィン一色だったが、現実のハロウィンはすっかり忘れていた。
    「これでいいか」
    きのこを乾燥させたそのまんまな珍味を目の前にかざすと、死にそうな顔をされた。仕方がない。
    「まったくわがままなやつめ。」
    酒だけが趣味の氏子が毎月持ってくる鮭とばと、神社に挨拶に来た親子が持ってきたお菓子をビニール袋につめる。どう考えても猫には悪いものだと思うが俺も含めて人の身体を持つと耐性がつくらしい。ニル猫に以前鮭とばをあげていらい、気に入ったのかたまにこうして神社に来るようになった。
    野良猫をかまった責任だ。
    目を輝かせビニール袋を見るニル猫に、踊ったらくれてやる。と言い放った瞬間。
    ニルの後ろに来ていた女子高生2人に疑いの眼差しで見られ、次の日の11/1。俺はどこへ行っても町民に罵られることになった。障子紙の事も怒られた。
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    zeppei27

    DONEなんとなく続いている主福のお話で、単品でも読めます。七夕を楽しむ二人と、夏の風物詩たちを詰め込んだお話です。神頼みができない人にも人事を超えた願いがあるのは良いですね。
    >前作:昔の話
    https://poipiku.com/271957/11735878.html
    まとめ
    https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
    星渡 折からの長雨は梅雨を経て、尚も止まぬようであった。蒸し暑さが冷えて一安心、と思ったが、いよいよ寒いと慌てて質屋に冬布団を取り戻そうと人が押しかけたほどである。さては今年は凶作になりはすまいか、と一部が心配したのも無理からぬことだろう。てるてる坊主をいくつも吊るして、さながら大獄後のようだと背筋が凍るような狂歌が高札に掲げられたのは人心の荒廃を憂えずにはいられない。
     しかし夏至を越え、流石に日が伸びた後はいくらか空も笑顔を見せるようになった。夜が必ず明けるように、悩み苦しみというのはいつしか晴れるものだ。人の心はうつろいやすく、お役御免となったてるてる坊主を片付け、軒先に笹飾りを並べるなどする。揺らめく色とりどりの短冊に目を引かれ、福沢諭吉はついこの前までは同じ場所に菖蒲を飾っていたことを思い出した。つくづく時間が経つ早さは増水時の川の流れとは比べるまでもなく早い。寧ろ、歳を重ねるごとに勢いを増しているかのように感じられる。
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