タイトル未定2あれから数日。
含光君から『先日のことで今一度雲深不知処まで来て欲しい』という旨の書簡を受け取った。もちろん、自分がしたことの後始末はつけるつもりで承諾し、それなりに雲深不知処を騒がせたのだからと、土産物を携え、さらには自身が戒鞭に打たれるつもりで数日仕事をあけてもいいように手配をした。そうして訪ねた雲深不知処で、俺は今沢蕪君と顔を合わせている。
-何故?
いや、確かに詫びは入れると言った。しかし、呼び出したのは含光君だ。それならば、まずは顔を合わせるのは含光君であるのが筋のはず。だが、その肝心の含光君は所用で不在とのこと。呼び出しておいて、何故。沢蕪君は、確かにここ藍家の宗主だが俺は仙督である含光君に呼ばれたのであって……などと、疑問は浮かんではいたが、はたと、先日のやらかしはこの人に対してであった分、詫びを入れるのなら直接この人に対してだと思い直し、飲もうとしていた茶を卓に置き姿勢を正す。
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