一人で逝けナナミンが死んだ。
遺体が綺麗に残ることはなく、身体には大きな火傷と内側からの破裂。とてもじゃないが、回収出来るような状態では無かった。
無惨と言えば、そうなのかもしれない。
それでも、呪霊と戦って、戦って。
人を助けて助けて。
そんな彼の生き様を、誇らしい精神を遺したままの死だった。
なぜなら、俺は見た。
あの日、あの時、あの場所で。
俺は、彼の死を見たのだ。
「虎杖くん」
「後は、頼みます」
パチン。
ポケットで震えたスマートフォンで目が覚める。
開いた瞼の先は真っ暗で、もうとっくに夜が来訪していることを知った。
ここはナナミンの家で、二人の部屋で。
ソファーにもたれ掛かるに寝ていた身体はすっかり冷え切っていたが、いつもそれを諌めて起こしてくれるはずの人も、そっとブランケットをかけてくれる人もいない。
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